カンファレンスとセミナー・イベントの違い|使い分けと選び方
カンファレンスとセミナーは、どちらも「人を集めて情報を届ける」という点では共通していますが、規模・目的・参加者の役割・運営方法には明確な違いがあります。この違いを正しく理解しないまま企画を進めると、期待した集客効果やビジネス成果が得られないケースも起こりえます。
本記事では、カンファレンスとセミナーの違いをBtoBビジネスの視点から徹底解説します。シンポジウムやフォーラムなど類似イベントとの比較、自社に最適な形式を選ぶための判断基準、そして成功に導くためのポイントまで、イベント企画に必要な情報をまとめました。
カンファレンスとセミナーの違いとは?基本の意味を解説
まずは、カンファレンスとセミナーそれぞれの言葉の意味と特徴を整理しましょう。両者は混同されがちですが、目的や規模、参加者の関わり方に明確な違いがあります。
カンファレンスの意味と特徴
カンファレンス(Conference)は、英語で「会議」「協議」を意味する言葉です。ビジネスシーンにおいては、特定のテーマや業界に関心を持つ多くの参加者が一堂に会し、複数のセッションや講演を通じて知見を共有する大規模なイベントを指します。
カンファレンスの主な特徴は以下のとおりです。
参加者数は数百人から数千人規模になることが一般的で、複数の登壇者による基調講演やパネルディスカッション、分科会セッションなど、多彩なプログラムで構成されます。参加者同士のネットワーキングや交流が重視される点も大きな特徴です。名刺交換やビジネスマッチングの機会が設けられ、新たな商談やパートナーシップが生まれる場としても機能します。
BtoB企業がカンファレンスを主催する目的としては、業界におけるリーダーシップの確立、企業ブランディングの強化、大量のリード獲得、既存顧客との関係強化などが挙げられます。
セミナーの意味と特徴
セミナー(Seminar)は、ラテン語の「seminarium(苗床)」を語源とし、もともとは大学のゼミのような少人数での学習形式を指していました。現在のビジネスシーンでは、特定のテーマについて講師が参加者に向けて解説・指導を行うイベント形式として広く使われています。
セミナーの主な特徴は以下のとおりです。
参加者数は数十人から数百人程度で、講師から参加者への一方向の情報提供が中心となります。特定の課題やテーマを深掘りして解説し、参加者が実務に活かせる知識やノウハウを持ち帰ることが主な目的です。質疑応答の時間は設けられますが、参加者同士の交流はカンファレンスほど重視されません。
BtoB企業がセミナーを開催する目的としては、見込み顧客(リード)の獲得、製品・サービスの認知拡大、既存顧客へのナーチャリング(育成)などが挙げられます。
【比較表】規模・目的・参加者の役割の違い
カンファレンスとセミナーの違いを表形式で整理すると、以下のようになります。
| 比較項目 | カンファレンス | セミナー |
|---|---|---|
| 規模(参加者数) | 数百〜数千人 | 数十〜数百人 |
| 主な目的 | 業界での存在感確立、ブランディング、大規模なリード獲得、ネットワーキング | 特定テーマの情報提供、リード獲得、顧客育成 |
| 参加者の役割 | 能動的(セッション選択、交流への参加) | 受動的(講義を聴講) |
| プログラム構成 | 複数セッション、基調講演、パネルディスカッション、展示ブースなど | 単一または少数のセッション、講師による講義中心 |
| 登壇者数 | 複数(外部有識者、顧客登壇など) | 1〜数名(自社社員または外部講師) |
| 開催頻度 | 年1〜2回程度 | 月1回〜週1回も可能 |
| 準備期間 | 3〜6ヶ月以上 | 1〜2ヶ月程度 |
| 運営コスト | 高い(会場費、登壇者依頼費、制作費など) | 比較的低い |
| 参加者同士の交流 | 重視(ネットワーキングタイム、マッチング機能など) | 限定的 |
このように、カンファレンスとセミナーは似て非なるものです。自社の目的やリソースに応じて、適切な形式を選ぶことが重要です。
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カンファレンスの意味や目的をより詳しく知りたい方は「【BtoB向け】カンファレンスとは?意味・目的とビジネスでの活用法」をご覧ください。
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シンポジウム・フォーラム・展示会との違いも整理
ビジネスイベントには、カンファレンスやセミナー以外にもさまざまな形式があります。ここでは、混同されやすいシンポジウム、フォーラム、展示会との違いを整理します。
シンポジウムとカンファレンスの違い
シンポジウム(Symposium)は、特定のテーマや議題について複数の専門家が異なる視点から意見や研究成果を発表し、討論を行うイベント形式です。もともとは学術分野で多く用いられてきましたが、近年ではビジネス領域でも活用されています。
カンファレンスとの違いは、シンポジウムがより「議論」や「討論」に重点を置く点にあります。カンファレンスは幅広いテーマを扱う大規模イベントであるのに対し、シンポジウムは特定テーマに絞った専門的な議論が中心です。参加者はパネリストの発言を聴くだけでなく、質疑応答や討論に参加する機会が設けられることもあります。
フォーラムとカンファレンスの違い
フォーラム(Forum)は、ラテン語で「公共広場」を意味し、参加者全員が対等な立場で意見を交換できる公開討論形式のイベントを指します。特定のテーマについて、登壇者だけでなく参加者も積極的に発言することが期待されます。
カンファレンスとの違いは、フォーラムがより「双方向性」と「参加者の主体的な関与」を重視する点です。カンファレンスでも参加者の交流は重視されますが、フォーラムでは討論や意見交換そのものがイベントの核となります。コミュニティ形成や業界全体の課題解決を目的とする場合に適した形式です。
展示会・イベントとの違い
展示会は、出展社が自社の製品やサービスをブースで展示し、来場者に直接アピールする形式のイベントです。商談や名刺交換を通じたリード獲得が主な目的であり、来場者は複数のブースを回遊しながら情報収集を行います。
カンファレンスやセミナーが「講演」や「情報提供」を中心とするのに対し、展示会は「展示」と「商談」が中心となる点が大きな違いです。ただし、大規模なカンファレンスでは展示ブースを併設し、セッションと展示を組み合わせた構成にするケースも増えています。
なお、「イベント」という言葉は、カンファレンス、セミナー、展示会などを包括する総称として使われることが一般的です。
【一覧表】ビジネスイベント形式の比較まとめ
各イベント形式の特徴を一覧表で整理すると、以下のようになります。
| 形式 | 主な目的 | 規模 | 双方向性 | BtoB活用シーン |
|---|---|---|---|---|
| カンファレンス | ブランディング、ネットワーキング、大規模リード獲得 | 大(数百〜数千人) | 中〜高 | 業界イベント、年次総会、ユーザーカンファレンス |
| セミナー | 情報提供、リード獲得、顧客育成 | 小〜中(数十〜数百人) | 低〜中 | 製品紹介、ノウハウ提供、勉強会 |
| シンポジウム | 専門的な議論、知見共有 | 中(数十〜数百人) | 中〜高 | 学術発表、専門分野の意見交換 |
| フォーラム | 公開討論、コミュニティ形成 | 中(数十〜数百人) | 高 | 業界課題の議論、ユーザーコミュニティ |
| 展示会 | 製品展示、商談、リード獲得 | 大(数千〜数万人) | 低 | 新製品発表、業界見本市への出展 |
| ウェビナー | 情報提供、リード獲得(オンライン) | 小〜中(数十〜数百人) | 低〜中 | オンラインセミナー、製品デモ |
BtoBで成果を出すイベント形式の選び方
カンファレンスとセミナーの違いを理解したところで、次に重要なのは「自社にとってどちらの形式が最適か」を判断することです。ここでは、BtoBマーケティングで成果を出すためのイベント形式の選び方を、目的・ターゲット・リソースの3つの観点から解説します。
目的別|リード獲得か、ブランディングか
イベント開催の目的によって、適した形式は異なります。
リード獲得が主目的の場合は、セミナーが効率的です。特定の課題を持つターゲット層に向けて、解決策となる情報を提供することで、質の高いリードを獲得できます。開催コストが比較的低く、定期開催によるPDCAを回しやすい点も魅力です。
企業ブランディングや業界でのポジション確立が主目的の場合は、カンファレンスが効果的です。業界の有識者や顧客を登壇者として招き、価値あるプログラムを提供することで、自社を業界のリーダーとして印象づけることができます。メディア露出やSNSでの拡散効果も期待できます。
両方を同時に狙いたい場合は、カンファレンス内にリード獲得向けのセッションや個別相談ブースを設けるなど、複合的な設計が有効です。
ターゲット別|新規顧客か、既存顧客か
アプローチしたいターゲット層によっても、適した形式は変わります。
新規リードの獲得を重視する場合は、セミナーで接点を創出するのが効果的です。ターゲットが抱える課題に直結するテーマを設定し、解決の糸口を提示することで、自社の製品・サービスへの関心を高められます。
既存顧客やパートナーとの関係強化を重視する場合は、カンファレンスが適しています。顧客同士のネットワーキング機会を提供したり、先進的な活用事例を共有したりすることで、継続率の向上やアップセル・クロスセルにつなげることができます。
ターゲットのセグメントに応じて、イベント当日の体験設計を変えることも重要です。たとえば、重要顧客には個別商談の機会を設け、一般参加者にはセミナーセッションへ案内するといった設計が考えられます。
リソース別|準備期間・予算・人員から考える
理想的なイベント形式が決まっても、現実のリソースが伴わなければ実現は困難です。準備期間・予算・人員から逆算して、実行可能な形式を選ぶことも大切です。
カンファレンスの場合は、一般的に3〜6ヶ月以上の準備期間が必要です。会場の選定・登壇者への依頼・スポンサー営業・集客施策・当日運営など、タスクは多岐にわたります。専任チームの組成や、イベント制作会社への外部委託が必要になるケースも少なくありません。予算も数百万円から数千万円規模になることがあります。
セミナーの場合は、1〜2ヶ月程度の準備期間で開催可能です。少人数のチームで企画から運営までを完結でき、オンライン開催(ウェビナー)であれば会場費も不要です。まずはセミナーで実績とノウハウを積み、段階的にカンファレンスへ拡大するアプローチも現実的な選択肢です。
【判断フローチャート】自社に最適な形式の見つけ方
以下のフローチャートを参考に、自社に適したイベント形式を検討してみてください。
Q1. イベント開催の主な目的は?
- 「リード獲得・商談創出」→ Q2へ
- 「ブランディング・業界でのポジション確立」→ カンファレンスを検討
- 「既存顧客との関係強化」→ カンファレンスを検討
Q2. ターゲットとする参加者数は?
- 「100人未満」→ セミナー/ウェビナーを検討
- 「100〜500人」→ Q3へ
- 「500人以上」→ カンファレンスを検討
Q3. 準備に使える期間は?
- 「2ヶ月未満」→ セミナー/ウェビナーを検討
- 「3ヶ月以上」→ カンファレンスを検討
Q4. 参加者同士の交流・ネットワーキングは重視する?
- 「重視する」→ カンファレンスを検討
- 「重視しない」→ セミナーを検討
カンファレンス・セミナーそれぞれのメリットと注意点
イベント形式を決定する際には、それぞれのメリットと注意点を把握しておくことが重要です。ここでは、カンファレンスとセミナーのメリット・注意点を具体的に解説します。
カンファレンス開催のメリットと効果
カンファレンスを開催することで、以下のようなメリットと効果が期待できます。
業界内でのプレゼンス向上
業界を代表するイベントを主催することで、自社を「業界のリーダー」として印象づけることができます。継続的に開催することで、イベント自体がブランド資産となり、企業ブランディングの強化につながります。
大規模なリード獲得と商談機会の創出
数百〜数千人規模の参加者を集められるため、一度に大量のリードを獲得できます。スポンサー企業のブース出展や個別商談ブースを設けることで、イベント当日に商談を進めることも可能です。
参加者同士のネットワーキング価値
カンファレンスは、参加者にとって業界の同業者や有識者とつながる貴重な機会です。この「ネットワーキング価値」を提供できることが、参加者の満足度向上とリピート参加につながります。
スポンサー獲得による収益化
大規模なカンファレンスでは、スポンサー企業を募ることで協賛金を得られます。これにより、イベント運営コストの一部または全額をカバーできる場合もあります。
カンファレンス開催時の注意点
一方で、カンファレンス開催には以下のような注意点もあります。
企画・運営の負荷が大きい
複数のセッション、登壇者のアサイン、会場手配、スポンサー対応、集客施策、当日のオペレーションなど、タスクは膨大です。専任チームの組成や外部パートナーとの連携が不可欠になります。
集客の難易度が高い
数百〜数千人規模の集客は容易ではありません。魅力的なプログラム設計、効果的な告知・集客施策、継続開催による認知蓄積が求められます。初回開催で目標人数を達成できないケースも珍しくありません。
効果測定の複雑さ
カンファレンスの成果は、リード獲得数だけでなく、ブランディング効果、参加者満足度、事後の商談化率など多面的に評価する必要があります。投資対効果(ROI)を正確に測定するには、事前のKPI設計と適切な計測体制が欠かせません。
セミナー開催のメリットと効果
- 低コスト・短期間で開催可能
カンファレンスに比べて準備期間が短く、運営コストも抑えられます。特にオンラインセミナー(ウェビナー)であれば、会場費が不要で、少人数のチームで運営できます。 - 特定テーマで質の高いリードを獲得
ターゲットが関心を持つテーマに絞ってセミナーを開催することで、課題意識の高いリードを効率的に獲得できます。参加者の課題やニーズが明確なため、事後のフォローアップもスムーズです。 - 定期開催によるナーチャリング効果
セミナーは定期開催しやすいため、見込み顧客との継続的な接点づくりに適しています。シリーズ化して段階的にテーマを深掘りすることで、リードの育成(ナーチャリング)を進められます。
PDCAを回しやすい 開催頻度を高められるため、テーマ設定・集客施策・コンテンツ内容などを継続的に改善できます。効果的な型を見つければ、複製して効率的に運営することも可能です。
セミナー開催時の注意点
一方で、セミナー開催には以下のような注意点もあります。
単発では認知拡大に限界がある
セミナー1回あたりの参加者数は限られるため、大規模な認知拡大やブランディングには向きません。継続的な開催と、他のマーケティング施策との組み合わせが必要です。
差別化が難しい
多くの企業がセミナーを開催しているため、競合との差別化が課題になります。ターゲットに刺さるテーマ設計、登壇者の選定、独自の知見やデータの提供など、工夫が求められます。
参加者同士の交流機会が少ない
講師から参加者への一方向の情報提供が中心となるため、参加者同士のネットワーキングや交流は限定的です。コミュニティ形成や顧客同士の関係構築を重視する場合は、カンファレンス形式の方が適しています。
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オンライン・ハイブリッド開催という選択肢
近年、カンファレンスやセミナーの開催形式は多様化しています。従来のリアル(オフライン)開催に加え、オンライン開催やハイブリッド開催を選択する企業が増えています。それぞれの特徴と成功のポイントを解説します。
オンラインカンファレンスの特徴と成功のポイント
オンラインカンファレンスは、インターネットを通じて配信・参加するカンファレンスです。リアル会場を持たず、すべてのプログラムをオンラインで実施します。
オンラインカンファレンスの主なメリット
地理的な制約がなくなり、全国・海外からの参加者を集められます。会場費や設営費が不要となり、コスト削減にもつながります。また、参加者の視聴ログやセッション別の参加データを詳細に取得できるため、事後のフォローアップや効果測定に活用しやすい点も大きなメリットです。
成功のポイント
オンラインでは参加者のエンゲージメント維持が課題になります。参加者同士のマッチング機能やチャット機能を活用し、双方向のコミュニケーションを促進する工夫が重要です。セッションの長さを短めに設定する、休憩時間を適切に設ける、アーカイブ配信を用意するなど、オンライン特有の体験設計が求められます。
オンラインセミナー(ウェビナー)の特徴と活用シーン
ウェビナーは、オンラインで実施するセミナーです。Webinar(Web + Seminar)という言葉が示すとおり、インターネットを通じて講師が参加者に向けて情報を提供します。
ウェビナーの主なメリット
会場の手配が不要で、参加者も移動の負担なく参加できるため、定期開催に適しています。同じ内容のウェビナーを複製して繰り返し開催したり、アーカイブ動画を活用したりすることで、効率的なリード獲得が可能です。
視聴データ(誰が・いつ・どのくらい視聴したか)を詳細に取得できるため、参加者の関心度合いを可視化できます。このデータをもとに、温度感の高いリードを優先的にフォローするといったインサイドセールス(IS)との連携がしやすくなります。
活用シーン
新製品・サービスの紹介、業界トレンドの解説、顧客向けの勉強会、事例紹介など、幅広いシーンで活用されています。MA(マーケティングオートメーション)ツールやSFA(営業支援ツール)と連携することで、参加者データを自動で顧客管理システムに反映し、効率的なナーチャリングを実現できます。
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ウェビナーのメリットと始め方を詳しく知りたい方は「ウェビナーのメリットをやさしく解説:成果を伸ばす設計・配信・振り返りのコツ」をご覧ください。
👉️ウェビナーのメリットをやさしく解説:成果を伸ばす設計・配信・振り返りのコツ

ハイブリッド開催で参加者層を広げる方法
ハイブリッド開催は、リアル会場での参加とオンライン参加を同時に提供する形式です。参加者は自身の都合に合わせて参加方法を選択できるため、より幅広い層にアプローチできます。
ハイブリッド開催のメリット
地理的・時間的な制約でリアル参加が難しい層もオンラインで参加できるため、参加者数の最大化が期待できます。リアル参加者にはネットワーキングや展示ブースでの体験を、オンライン参加者には視聴のしやすさを提供でき、それぞれに最適な体験を設計できます。
成功のポイント
ハイブリッド開催で重要なのは、リアルとオンラインの参加者データを一元管理することです。会場でのQRコードによる受付・チェックインと、オンライン参加者の視聴データを統合することで、イベント全体を通した正確な効果測定が可能になります。
リアル参加者とオンライン参加者で体験が大きく乖離しないよう、プログラムの設計やコミュニケーション設計を工夫することも大切です。
関連資料
ハイブリッドイベントの具体的な開催方法については「EventHubのハイブリッド開催利用に関する資料」で詳しく紹介しています。下記リンクより資料請求ください。
👉️EventHub概要資料を資料請求:オンラインとオフラインが相互に補完するハイブリッドなイベント体験を実現
成功事例に学ぶ|目的に合わせたイベント設計
最後に、カンファレンスを効果的に活用して成果を上げている企業の成功事例を紹介します。自社のイベント設計の参考にしてください。
企業ブランディングと顧客接点創出を目的としたカンファレンス事例:株式会社ビズリーチ
即戦力人材と企業をつなぐ転職サービス「ビズリーチ」を運営する株式会社ビズリーチは、日本最大級のHRラーニングイベント「HR SUCCESS SUMMIT」を継続的に開催しています。
HR SUCCESS SUMMIT 2024では、2,500人以上が参加し、過去最高となる95.8%の参加者満足度を達成しました。同社は「お客様の本質的課題解決」を会社のバリューとして掲げており、イベントを「お客様の声をリアルに聞く場」として重視しています。
イベント成功の鍵となったのは、全社を巻き込む体制づくりです。事務局と各事業部をつなぐ「アンバサダー」を10名選定し、社内インフルエンサーとして機能させることで、営業部門も含めた全社的な協力体制を構築しました。また、来場者のチェックイン時にSlackで営業担当に通知が届く仕組みを活用し、前年度を大幅に上回る顧客接点を創出することに成功しています。
成功のポイント
継続開催によるイベントブランドの確立、全社を巻き込むアンバサダー制度、リアルタイムの来場通知による営業接点の最大化がポイントです。
詳しい事例を見る 株式会社ビズリーチの導入事例

イベントマーケティングで総商談の約40%を創出:株式会社カオナビ
タレントマネジメントシステム「カオナビ」を提供する株式会社カオナビは、総商談の約40%をイベントマーケティングから創出するなど、イベントを事業成長の重要な柱として位置づけています。
同社は2025年2月に開催した「FACE to FES’25」において、新規顧客と既存顧客の両方が参加できるカンファレンスを企画しました。通常は「新規向け」「既存向け」とカンファレンスを分けるケースが多い中、あえて統合することで、新規・既存のお客様同士が交流し、情報交換できる場を創出しています。
イベント全体を通して「お客様同士の交流を持ってもらう」ことを最重視し、Slack通知機能を活用して営業がリアルタイムで来場者を把握。お客様同士の紹介や商談機会の創出につなげました。また、MA/SFAツールとの連携により、従来5時間かかっていたデータの突合作業を1時間にまで削減し、迅速なフォローアップを実現しています。
成功のポイント
新規・既存顧客を統合したイベント設計、お客様同士の交流を促進する導線設計、MA/SFAツール連携によるスピーディーなフォローアップ体制がポイントです。
詳しい事例を見る 株式会社カオナビの導入事例

オンラインからオフラインへ段階的に進化させた事例:株式会社primeNumber
データテクノロジーカンパニーの株式会社primeNumberは、カンファレンス「01(zeroONE)」を過去3回オンラインで開催し、第3回では5,500名以上の申込みを達成しました。しかし同社は、単に集客数を伸ばすのではなく「本当に興味関心を持ってくださる方との関係性を深めたい」と考え、第4回で初のオフライン開催に踏み切りました。
結果として、集客目標の125%を超える参加者を集め、商談数のKPIも大幅に上回る成果を達成。セッションを聞いて気になったスピーカーに直接質問できる「AfterTalk」を設けるなど、参加者とのコミュニケーションの質を重視した企画が功を奏しました。
同社の担当者は「今回の開催を一番喜んでくれたのは社員だった」と振り返ります。全社一丸となってイベントを成功させた経験が、組織としての一体感やモチベーション向上にもつながっています。
成功のポイント
オンラインで実績とノウハウを蓄積してからオフラインへ移行、集客「数」よりもコミュニケーションの「質」を重視、全社を巻き込んだ協力体制の構築がポイントです。
詳しい事例を見る 株式会社primeNumberの導入事例

ワンポイント
カンファレンスという一定規模以上のイベント開催には、「連続的な開催に伴う認知獲得」と「プロジェクトを推進する社内の協力体制の構築」が重要です。いきなりカンファレンスを開催しようとすると、集客やスポンサー獲得に苦労するケースが少なくありません。まずはセミナーやウェビナーで経験を積み、段階的にスケールアップしていくアプローチを検討してみてください。
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本記事で紹介した事例のほかにも、BtoB企業がカンファレンスで成果を上げた具体的な事例を知りたい方は「BtoBカンファレンス成功事例集」をご活用ください。企業ブランディング、リード獲得、顧客エンゲージメント向上など、目的別の成功パターンと具体的な施策を詳しく解説しています。

ワンポイント
カンファレンスという一定規模以上のイベント開催には、「連続的な開催に伴う認知獲得」と「プロジェクトを推進する社内の協力体制の構築」が重要です。いきなりカンファレンスを開催しようとすると、集客やスポンサー獲得に苦労するケースが少なくありません。まずはセミナーやウェビナーで経験を積み、段階的にスケールアップしていくアプローチを検討してみてください。
まとめ:違いを理解し、自社の目的に合った形式を選ぼう
本記事では、カンファレンスとセミナーの違いについて、規模・目的・参加者の役割・運営方法などの観点から解説しました。
本記事のポイント
カンファレンスは大規模イベントで、業界でのブランディング、参加者同士のネットワーキング、大量のリード獲得に適しています。一方、セミナーは特定テーマの情報提供を通じた質の高いリード獲得や顧客育成に向いており、低コスト・短期間で開催できるのが強みです。
シンポジウムは専門的な議論、フォーラムは双方向の意見交換、展示会は製品展示と商談に適しており、目的に応じて使い分けることが大切です。
自社のイベント形式を決める際は、開催目的(リード獲得かブランディングか)、ターゲット(新規顧客か既存顧客か)、リソース(準備期間・予算・人員)を総合的に検討しましょう。オンライン開催やハイブリッド開催という選択肢も含め、柔軟に検討することをおすすめします。
まずは小規模なセミナーやウェビナーから始めて経験を積み、段階的にカンファレンスへ拡大していくアプローチも有効です。自社の目的とリソースに合った形式を選び、イベントマーケティングを成功させましょう。
次のステップ
カンファレンス開催を決めた方は「初めてでも失敗しないイベント企画の進め方|成功するアイデア・手順・事例を解説」で、具体的な準備の進め方を確認しましょう。

カンファレンス開催を検討中の方へ
「実際にカンファレンスを開催した企業はどのような成果を得ているのか」を知りたい方は、BtoBカンファレンスの成功事例集をぜひご覧ください。業界別・目的別の事例から、自社のカンファレンス設計のヒントが見つかります。

よくあるご質問
質問:カンファレンスとセミナーは同時に開催できますか?
回答:はい、同時開催は可能です。大規模なカンファレンスの中に、テーマ別のセミナーセッション(分科会)を設ける構成は一般的です。参加者は基調講演やネットワーキングに参加しつつ、関心のあるテーマのセミナーを選んで受講できます。このような複合的な設計により、幅広い参加者ニーズに対応できます。
質問:初めてイベントを開催する場合、カンファレンスとセミナーどちらから始めるべきですか?
回答:初めての場合は、セミナーまたはウェビナーから始めることをおすすめします。準備期間が短く、少人数のチームで運営できるため、まずは開催のノウハウを蓄積できます。定期的に開催しながら改善を重ね、集客力と運営体制が整ったタイミングでカンファレンスへの拡大を検討するのが現実的なアプローチです。
質問:オンラインカンファレンスとウェビナーの違いは何ですか?
回答:オンラインカンファレンスは、複数のセッションや登壇者で構成される大規模なオンラインイベントです。参加者同士のマッチングやチャット交流など、ネットワーキング機能が重視されます。一方、ウェビナーは講師から参加者への情報提供が中心で、単一または少数のセッションで完結します。規模感と参加者の関わり方に違いがあります。
質問:カンファレンスの準備期間はどのくらい必要ですか?
回答:カンファレンスの準備期間は、一般的に3〜6ヶ月以上が目安です。会場の選定・登壇者への依頼・スポンサー営業・集客施策・プログラム設計・当日運営の準備など、多岐にわたるタスクがあります。大規模なカンファレンスや初回開催の場合は、さらに余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。
質問:ハイブリッド開催のメリットは何ですか?
回答:ハイブリッド開催の最大のメリットは、リアル参加とオンライン参加の両方を提供できるため、参加者層を最大化できる点です。地理的な制約でリアル参加が難しい方もオンラインで参加でき、リアル会場ではネットワーキングや展示体験を提供できます。ただし、両方の参加者データを一元管理し、それぞれに最適な体験を設計することが成功のポイントとなります。
こちらの記事の監修・執筆者
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株式会社EventHub マーケティングマネージャー 鈴木 優一 |
| 2010年上智大学大学院卒業。新卒でITベンチャー企業に就職。その後エン・ジャパンのwebサービス企画部門への転職を経て、タレントマネジメントシステムを提供するカオナビに社員番号5番で1人目のマーケターとしてジョイン、BtoBマーケティング組織の立ち上げに携わる。FinTechスタートアップのOLTAを経て、2022年5月にマーケティングマネージャーとしてEventHubに参画。 |
