展示会出展の準備完全ガイド|やることリスト付き

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展示会出展は、BtoBマーケティングにおいて見込み顧客と直接接点を持てる貴重な機会です。自社の製品やサービスを来場者に直接アピールでき、その場で商談につなげられる可能性もあります。

しかし、いざ出展が決まると「何から準備すればいいかわからない」「抜け漏れが心配」という声も少なくありません。展示会は準備段階で成果の8割が決まるといわれるほど、事前の計画と段取りが重要です。

本記事では、展示会出展の準備を3ヶ月前から当日まで時系列で整理し、必要なタスクを網羅的に解説します。ブース装飾、配布物作成、スタッフ体制、事前告知まで、やることリストとして活用できる内容です。初出展の方も経験者も、この記事で準備の全体像を把握し、成果につながる出展を実現しましょう。

展示会出展の準備はなぜ重要か|成功と失敗を分ける3つの差

展示会当日のブース運営がいくら優れていても、準備が不十分では期待する成果は得られません。展示会出展の成否は「準備8割、当日2割」といわれるほど、事前の計画と段取りが重要です。

準備不足が招く典型的な失敗パターン

展示会出展で成果が出ない企業には、共通する失敗パターンがあります。

  • 失敗パターン1:リード獲得数が目標に届かない
    ブースの位置やデザインの検討が不十分で、来場者の目に留まらない。スタッフの声かけトークが準備されておらず、通路を歩く来場者を取り込めない。
  • 失敗パターン2:フォローアップが遅れる
    展示会で獲得した名刺のデータ化に時間がかかり、お礼メールや架電が競合他社に先を越される。会期終了から1週間以上経ってからの連絡では、来場者の記憶も薄れてしまいます。
  • 失敗パターン3:費用対効果が見えない
    そもそも出展目的やKPI(重要業績評価指標)が曖昧なまま出展し、成功か失敗かの判断すらできない。次回の改善にもつながりません。

準備段階で設計すべき3つの要素

展示会出展を成功に導くためには、準備段階で以下の3つの要素を明確に設計しておく必要があります。

要素 内容 準備段階で決めること
目的設定 なぜ出展するのか 認知度向上、リード獲得、既存顧客との関係強化など、優先順位を明確化
来場者体験 ブースでどんな体験を提供するか 製品デモ、資料配布、商談スペースの設計
事後フォロー導線 展示会後にどうつなげるか 名刺データ化の方法、フォローメールの内容、営業へのパス基準

これら3つの要素を準備段階で設計しておくことで、当日の運営に迷いがなくなり、会期終了後のフォローアップもスムーズに進められます。

展示会出展準備の全体スケジュール|3ヶ月前〜当日の流れ

展示会出展の準備は、一般的に3ヶ月前から本格的に開始します。初出展の場合は、さらに余裕を持って4〜5ヶ月前からスタートすることをおすすめします。

準備期間の目安と各フェーズの概要

時期 フェーズ 主なタスク
3ヶ月前 土台固め 目的・KPI設定、予算策定、社内承認、ブースコンセプト決定
2ヶ月前 制作・体制構築 ブース装飾発注、配布物制作、スタッフ体制決定
1ヶ月前 集客・仕上げ 事前告知、来場者対応準備、リード獲得の仕組み構築
1週間前 最終確認 搬入準備、スタッフブリーフィング、備品最終チェック
前日・当日 本番 設営、オペレーション実施、リアルタイム改善

初出展と複数回出展で異なるスケジュール感

初出展の場合は、すべての業務が初めてのため、各タスクに想定以上の時間がかかります。特にブース装飾業者の選定や、社内の役割分担の調整には余裕を持ったスケジュールが必要です。

一方、複数回の出展経験がある企業では、過去の実績やノウハウを活用できるため、準備期間を短縮できる部分もあります。ただし、「慣れ」による確認漏れには注意が必要です。

【3ヶ月前】出展の土台を固める準備

展示会出展の成否は、最初の1ヶ月で決まるといっても過言ではありません。この時期に目的、予算、コンセプトという土台をしっかり固めておくことが、その後の準備をスムーズに進める鍵となります。

出展目的とKPIの決定

まず最初に取り組むべきは、「なぜこの展示会に出展するのか」という目的の明確化です。目的が曖昧なまま準備を進めると、ブースデザインや配布物の方向性がぶれ、結果として成果の測定もできなくなります。

展示会出展の主な目的

  • 認知度向上: 自社や製品・サービスの存在を広く知ってもらう
  • リード獲得: 見込み顧客の名刺や連絡先を収集する
  • 商談創出: その場で具体的な商談につなげる
  • 既存顧客との関係強化: 既存顧客を招待し、関係性を深める

目的を決めたら、それを測定するためのKPI(重要業績評価指標)を設定します。

目的 KPI例 目標値の考え方
認知度向上 ブース来訪者数、パンフレット配布数 来場者数の〇%を目標に
リード獲得 名刺獲得数、アンケート回答数 過去実績の120%など
商談創出 商談設定数、見積依頼数 名刺獲得数の〇%を商談化
既存顧客強化 招待客来場率、面談実施数 招待状送付数の〇%来場

展示会選定のポイント

  • ターゲットとなる顧客層が来場する展示会か
  • 過去の来場者数や属性データは自社のターゲットと合致するか
  • 競合他社の出展状況はどうか
  • 開催時期は自社の繁忙期と重ならないか

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予算策定と社内承認

出展目的とKPIが決まったら、次は予算の策定です。展示会出展には想像以上に多くの費用項目があるため、漏れなく洗い出すことが重要です。

展示会出展の主な費用項目

カテゴリ 費用項目 備考
出展料 小間料、電気・水道などのインフラ利用料 主催社への支払い
ブース関連 装飾・施工費、什器レンタル、パネル制作 規模により大きく変動
制作物 パンフレット、チラシ、ノベルティ 部数により変動
人件費 スタッフ人件費、外注コンパニオン費用 会期日数×人数
輸送・設営 搬入・搬出費、展示物の輸送費 会場アクセスにより変動
その他 出張旅費、宿泊費、飲食費 遠方開催の場合

小間サイズ別の予算目安は、1小間(3m×3m)あたりの総費用で100〜200万円程度が一般的です。ただし、ブースの装飾レベルや制作物の量によって大きく変動します。

社内稟議を通すためのポイント

予算が大きくなる展示会出展では、社内承認を得るための企画書作成も重要な準備です。

  • 出展目的と期待される成果を明確に記載
  • 具体的なKPIと目標値を設定
  • 過去の出展実績がある場合はデータを添付
  • 費用対効果の試算(リード1件あたりの獲得コストなど)

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ブースコンセプトとデザイン方針の決定

目的と予算が固まったら、ブースのコンセプトとデザイン方針を決定します。この段階での検討が、来場者にどのような印象を与えるかを左右します。

コンセプト設計で決めること

  • キーメッセージ: ブースを見た来場者に何を伝えたいか(一言で表現)
  • 訴求する製品・サービス: 複数ある場合は優先順位を決定
  • ターゲット来場者像: どんな課題を持つ人に来てほしいか
  • 競合との差別化ポイント: 自社ならではの強みは何か

ブースレイアウトの基本パターン

レイアウト 特徴 適した用途
オープン型 三方が通路に面し、入りやすい 認知度向上、多くの来場者との接点
クローズ型 商談スペースを確保しやすい 商談重視、じっくり説明したい場合
アイランド型 四方から来場者を迎えられる 大規模ブース、ブランドアピール

装飾会社・施工業者の選定

ブースの装飾や施工を外注する場合は、この時期に業者の選定と発注を行います。

  • 複数の業者から見積もりを取得
  • 過去の施工実績やデザイン事例を確認
  • 対応可能なスケジュールを確認
  • 設営・撤去の対応範囲を明確化

【2ヶ月前】具体的な制作物と体制づくり

3ヶ月前に土台を固めたら、2ヶ月前からは具体的な制作作業と体制構築に入ります。この時期の準備が、当日のブース運営のクオリティを決定づけます。

ブース装飾・設営計画の具体化

ブースデザインを確定し、装飾物の発注を進めます。印刷物やパネルの制作には時間がかかるため、この時期に発注を完了させることが重要です。

ブース装飾で発注するもの

  • バックパネル、サイドパネル
  • 社名看板、キャッチコピーサイン
  • カウンター、什器、棚
  • モニター、デモ機器の手配
  • カーペット、照明

設営・搬入スケジュールの確認

展示会によって設営可能な時間や搬入ルールが異なるため、主催社からの案内を確認しておきます。

  • 設営可能日時(前日のみ、当日朝のみなど)
  • 搬入口の位置と利用可能時間
  • 搬入車両の制限(車両サイズ、台数)
  • 電気工事の申込み期限

配布物・ノベルティの作成

来場者に配布する資料やノベルティの制作を進めます。配布物は自社の印象を左右する重要なツールです。

配布物の種類と役割

種類 役割 制作のポイント
パンフレット・カタログ 製品・サービスの詳細説明 持ち帰って検討してもらえる情報量
チラシ 興味喚起、簡易説明 一目で価値が伝わるデザイン
名刺 スタッフの連絡先共有 展示会用に多めに用意
ノベルティ 記憶に残る接点づくり 実用性があり、社名が目に入るもの

配布物の部数決定

配布物の部数は、以下の計算式を参考に決定します。

  • パンフレット:名刺獲得目標数 × 1.5倍
  • チラシ:想定ブース来訪者数 × 2倍
  • ノベルティ:名刺獲得目標数 × 1.2倍

余りが多いと不要な費用負担となり、足りないと機会損失になるため、過去の実績があれば参考にしましょう。

印刷発注のスケジュール

印刷物は、入稿から納品まで1〜2週間程度かかります。デザイン制作期間も含めると、2ヶ月前には制作を開始する必要があります。

スタッフ体制とシフトの決定

展示会当日のスタッフ体制を決定します。必要な人数、役割分担、シフトを明確にしておくことで、当日のオペレーションがスムーズになります。

必要なスタッフ人数の算出

スタッフ人数は、ブースサイズと運営方針によって異なります。

ブースサイズ 最低人数 推奨人数 備考
1小間(9㎡) 2名 3〜4名 休憩交代を考慮
2小間(18㎡) 3名 4〜5名 役割分担が可能に
4小間以上 5名以上 6〜8名 エリア別に担当配置

役割分担の設計

スタッフごとに明確な役割を割り当てます。

  • 呼び込み担当: 通路を歩く来場者に声をかけ、ブースへ誘導
  • 説明担当: 製品・サービスの説明、デモンストレーション
  • 名刺獲得担当: 名刺交換、アンケート記入依頼
  • 商談担当: 興味度の高い来場者との詳細な商談対応

シフト表の作成

会期中の各時間帯にどのスタッフが担当するかを決めたシフト表を作成します。

  • 開場前の準備時間も含める
  • 昼食休憩を交代で取れるよう設計
  • 繁忙時間帯(昼前後)は人数を厚めに配置
  • 緊急時の連絡体制も明記

【1ヶ月前】集客施策と当日準備の仕上げ

出展1ヶ月前からは、集客施策の実施と当日に向けた準備の仕上げに入ります。この時期の活動が、ブースへの来場者数を大きく左右します。

事前告知・集客施策の実施

展示会への出展を広く告知し、ターゲットとなる見込み顧客にブースへの来場を促します。

既存リードへのメール告知

過去に接点のある見込み顧客や既存顧客には、メールで出展のご案内を送付します。

  • 展示会名、開催日時、会場情報
  • 自社ブースの位置(小間番号)
  • 展示内容やデモのご案内
  • 来場特典(ノベルティプレゼントなど)
  • 事前アポイントの受付

メールは1ヶ月前、2週間前、1週間前と複数回に分けて送付すると効果的です。

WebサイトやSNSでの告知

自社のWebサイトやSNSでも出展情報を発信します。

  • 自社サイトにバナーやお知らせを掲載
  • ブログやコラムで展示内容を紹介
  • SNS(Facebook、LinkedIn、Xなど)で定期的に投稿
  • 展示会の公式ハッシュタグを活用

招待状の送付

重要な見込み顧客や既存顧客には、招待状を郵送することも効果的です。主催社から提供される無料招待券を同封すると、来場のハードルを下げられます。

来場者対応の準備

当日の来場者対応がスムーズに行えるよう、トークスクリプトやFAQを準備します。

接客トークスクリプトの作成

来場者への声かけから、製品説明、名刺獲得までの流れをスクリプト化します。

声かけの例: 「本日は〇〇にご興味をお持ちですか?」 「〇〇の課題をお持ちの方に、解決策をご紹介しています」

製品説明の流れ

  1. 来場者の課題・ニーズをヒアリング(30秒)
  2. 課題に合わせた製品紹介(1〜2分)
  3. デモンストレーション(2〜3分)
  4. 資料のご案内と名刺交換

よくある質問(FAQ)の整理

来場者から想定される質問とその回答を一覧化し、スタッフ全員で共有します。

  • 製品・サービスの機能や特徴に関する質問
  • 価格や導入費用に関する質問
  • 導入事例や実績に関する質問
  • 競合製品との違いに関する質問

リード獲得の仕組みづくり

展示会の最大の目的であるリード獲得を効率化する仕組みを構築します。

名刺管理の方法と即時データ化

展示会で獲得した名刺を、いかに早くデータ化し、フォローにつなげるかが重要です。

従来の方法では、会期終了後に名刺を持ち帰り、手作業でデータ入力するため、フォローまでに数日〜1週間かかることも珍しくありません。その間に競合他社に先を越されるリスクがあります。

アンケートの設計

名刺交換だけでなく、アンケートを活用することで、来場者のニーズや興味関心を把握できます。

  • 現在の課題や検討状況
  • 導入時期の目処
  • 予算感
  • 次のアクション(資料送付希望、商談希望など)

アンケート項目は5問以内に絞り、回答のハードルを下げることがポイントです。

HOTリードの判定基準

どのような来場者を「HOTリード」として優先的にフォローするか、事前に基準を決めておきます。

判定項目 HOTリード基準例
役職 部長以上、決裁権者
検討状況 3ヶ月以内に導入検討中
予算 予算確保済み
ニーズ 具体的な課題を持っている

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【1週間前〜前日】最終確認と搬入準備

展示会1週間前からは、すべての準備の最終確認と搬入に向けた準備を行います。この時期に抜け漏れをチェックし、万全の状態で当日を迎えましょう。

搬入・設営の最終確認

搬入日時や会場のルールを再確認し、設営当日の動きを具体的にシミュレーションします。

搬入日時と会場ルールの再確認

  • 搬入可能日時(開始時刻と終了時刻)
  • 搬入口の場所と利用方法
  • 車両の駐車ルール
  • 装飾会社との待ち合わせ場所・時間

装飾物・備品の最終チェックリスト

搬入前に、すべての装飾物と備品が揃っているかを確認します。

ブース装飾関連

  • バックパネル、サイドパネル
  • 社名看板、キャッチコピーサイン
  • カウンター、什器、棚
  • カーペット

機器関連

  • モニター、PC
  • デモ機器
  • 電源タップ、延長コード
  • Wi-Fiルーター(必要な場合)

配布物関連

  • パンフレット、カタログ
  • チラシ
  • 名刺
  • ノベルティ

設営当日のタイムライン例

時間 作業内容
9:00 会場到着、搬入口で荷物受け取り
9:30 ブース位置確認、装飾開始
12:00 昼食休憩
13:00 装飾完了、機器設置・動作確認
15:00 配布物配置、最終チェック
16:00 設営完了、撤収

スタッフへの最終ブリーフィング

当日のオペレーションをスムーズに行うため、スタッフ全員への最終ブリーフィングを実施します。

ブリーフィングで共有すること

  • 出展目的と当日の目標(名刺獲得数など)
  • 各スタッフの役割と配置
  • タイムスケジュールとシフト
  • トークスクリプトとFAQ
  • 緊急時の連絡体制
  • 服装・持ち物の確認

ブリーフィング資料の作成

口頭だけでなく、マニュアル化した資料を配布することで、当日の混乱を防げます。

  • A4サイズ1〜2枚にまとめる
  • 重要事項は太字で強調
  • 連絡先リストを添付

忘れがちな細かい準備項目

最終確認では、つい見落としがちな項目もチェックしましょう。

電源・通信環境

  • 電源の位置と容量の確認
  • Wi-Fi接続のテスト
  • 携帯電話の電波状況

スタッフ用備品

  • 飲料・軽食の手配
  • 筆記用具、メモ帳
  • 名札、ストラップ

予備・緊急用

  • 予備の名刺(各スタッフ+予備)
  • 予備の配布資料
  • 養生テープ、はさみ、カッター
  • 救急キット

【当日〜会期中】成果を最大化するオペレーション

いよいよ展示会当日です。準備段階で設計したオペレーションを着実に実行し、リード獲得の成果を最大化しましょう。

開場前の最終セットアップ

開場の1〜2時間前には会場入りし、最終セットアップを行います。

ブースの動作確認

  • モニター、PCの電源ON・動作確認
  • デモ機器のテスト
  • 照明の点灯確認
  • Wi-Fi接続テスト

スタッフ配置と声出しの確認

  • 各スタッフの配置位置を確認
  • 声かけトークの最終確認(声出しリハーサル)
  • 名刺獲得の流れを再確認

配布物・ノベルティの配置

  • パンフレットを取りやすい位置に配置
  • ノベルティの見せ方を工夫
  • 補充用在庫の保管場所を確認

来場者対応と名刺獲得のコツ

会期中は、いかに多くの来場者と接点を持ち、名刺を獲得するかが勝負です。また、展示会の来場者は多くのブースを回るため、まず足を止めてもらうことが第一歩です。通路を歩く来場者への効果的な声かけを行いましょう。

効果的な声かけのポイント

  • 来場者の目を見て、笑顔で声をかける
  • 質問形式で興味を引く(「〇〇にお困りではないですか?」)
  • 押し売り感を出さない(「よろしければ資料だけでもどうぞ」)

短時間で興味を引く会話

来場者の注意を引けるのは最初の30秒です。短時間で自社の価値を伝える準備をしておきましょう。

会話の例

  1. 課題の提示(10秒):「〇〇でお困りではないですか?」
  2. 解決策の提示(10秒):「当社の△△なら、それを解決できます」
  3. 具体的なベネフィット(10秒):「導入企業様では□□%の改善を実現しています」

名刺交換後の会話内容の記録

名刺を獲得したら、その場で会話内容を記録することが重要です。後日のフォローアップで、「展示会でお話しした〇〇の件ですが…」と具体的に言及できると、商談化率が大きく向上します。

記録すべき内容

  • 興味を持った製品・機能
  • 抱えている課題
  • 検討時期、予算感
  • 次のアクション(資料送付、商談希望など)

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会期中のPDCAとリアルタイム改善

展示会は数日間にわたることが多いため、日々の振り返りと改善が可能です。

午前・午後での振り返りミーティング

各日の昼休憩や終了後に、短時間のミーティングを実施します。

  • 午前中の名刺獲得数の確認
  • うまくいった施策、改善が必要な点の共有
  • 午後または翌日に向けた改善アクション

うまくいった施策の横展開

あるスタッフが効果的な声かけ方法を発見したら、すぐに他のスタッフにも共有します。

翌日に向けた改善アクション

  • 配布物の配置変更
  • トークスクリプトの修正
  • スタッフ配置の見直し
  • デモ内容の調整

【見落としがち】準備段階で設計すべき「展示会後」のフォロー体制

展示会の真の成果は、会期終了後のフォローアップで決まります。多くの企業が当日の運営に注力する一方、事後フォローの設計がおろそかになりがちです。準備段階から、展示会後の動きを設計しておくことが重要です。

展示会の成果は「事後フォロー」で決まる

展示会で100枚の名刺を獲得しても、適切なフォローがなければ1件の商談にもつながりません。逆に、50枚の名刺でも丁寧にフォローすれば、5件、10件と商談を創出できます。

フォローのスピードが勝敗を分ける

展示会の来場者は、多くのブースを回っています。時間が経つほど、来場者の記憶は薄れ、他社に先を越されるリスクが高まります。

フォロータイミング 来場者の記憶 競合との差別化
当日〜翌日 鮮明 大きく差別化できる
3日以内 まだ覚えている やや有利
1週間後 薄れている 埋もれるリスク
2週間以上 ほぼ忘れている 差別化困難

準備段階で決めておくべきフォロー設計

展示会後のフォローを迅速に行うために、準備段階で以下を設計しておきます。

お礼メールのテンプレート作成

会期終了後すぐに送付できるよう、お礼メールのテンプレートを事前に作成しておきます。

  • 件名:展示会名を入れる(記憶を呼び起こす)
  • 本文:ブースへの来訪への感謝
  • 資料:ダウンロードリンクまたは添付
  • 次のアクション:商談の提案、ウェビナーへの誘導など

架電リストと優先順位

HOTリードには、メールだけでなく電話でのフォローも効果的です。

  • HOTリード:会期中または翌日に架電
  • WARMリード:3日以内にメール+必要に応じて架電
  • COLDリード:メールでのナーチャリング

ウェビナーへの誘導

展示会で接点を持った見込み顧客を、後日開催するウェビナーに誘導することで、継続的な関係構築が可能です。

名刺データの即時連携がスピード勝負を制する

フォローのスピードを上げるためには、名刺のデータ化を迅速に行う必要があります。

従来の名刺管理の課題

  • 展示会終了後に名刺を持ち帰り
  • 手作業でExcelやCRMに入力
  • 入力完了まで数日〜1週間
  • その間に競合にフォローを先行される

リアルタイムデータ化の重要性

展示会会場で獲得した名刺をその場でデータ化し、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)に連携できれば、フォローのスピードは劇的に向上します。

EventHub Lead Scanなら、展示会でのリード獲得を効率化

EventHub Lead Scanを活用すれば、スマートフォンのカメラで名刺をスキャンするだけで、その場で文字データ化が完了。専用アプリのインストールも不要です。

さらに、Salesforce、Marketo、HubSpotなどの主要なMA/SFAツールとリアルタイム連携できるため、会期中にお礼メールを自動送信したり、翌日には営業が架電を開始したりすることが可能です。

名刺データだけでなく、ブースでの会話内容やアンケート回答も紐づけて記録できるため、後日のフォロー時に文脈を踏まえたアプローチができます。

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展示会出展準備のよくある失敗と対策

最後に、展示会出展でよくある失敗パターンと、その対策をまとめます。準備段階でこれらのポイントを押さえておくことで、失敗を未然に防げます。

失敗①:目的が曖昧なまま出展し、成果が測れない

問題点: 「とりあえず出展」という状態で、KPIも設定せずに参加。終了後に「成功だったのか失敗だったのかわからない」という状況に陥る。

対策: 3ヶ月前の段階で、出展目的とKPI(名刺獲得数、商談設定数など)を明確に設定。目標値は過去実績や業界平均を参考に、具体的な数字で設定する。

失敗②:配布物が足りなくなる/余りすぎる

問題点: パンフレットやノベルティの部数設定を誤り、会期途中で足りなくなる、または大量に余ってしまう。

対策: 過去の実績データを参考に部数を算出。初出展の場合は、名刺獲得目標数×1.5倍を基準に。余った場合の活用方法(営業ツールとして使用など)も事前に検討。

失敗③:スタッフの役割分担が不明確でブースが機能しない

問題点: 「全員が何でもやる」状態で、呼び込みに人が偏ったり、商談対応ができなかったりする。

対策: 事前に役割(呼び込み、説明、名刺獲得、商談対応)を明確に分担。シフト表と合わせて、どの時間帯に誰が何を担当するかを可視化。

失敗④:名刺のデータ化が遅れ、フォローが競合に先を越される

問題点: 会期終了後に名刺を持ち帰り、手作業でデータ入力。1週間後にようやくお礼メールを送るころには、競合がすでにアポイントを獲得している。

対策: 展示会会場で即時にデータ化できるツールを活用。お礼メールのテンプレートを事前に準備し、会期中または翌日には送付できる体制を構築。

失敗⑤:事後フォローの設計がなく、リードが放置される

問題点: 名刺を獲得したものの、フォローの担当者や方法が決まっておらず、そのまま放置。せっかくのリードが無駄になる。

対策: 準備段階で、フォローの担当者、優先順位、方法(メール、架電、ウェビナー誘導など)を設計。獲得したリードをMA/SFAに登録し、ナーチャリングシナリオに乗せる仕組みを構築。

まとめ:準備を制する者が展示会を制する

展示会出展は、BtoBマーケティングにおいて見込み顧客と直接接点を持てる貴重な機会です。しかし、その成果を最大化できるかどうかは、準備段階で決まります。

本記事のポイント

  • 展示会は「準備8割、当日2割」。事前の計画と段取りが成功の鍵
  • 3ヶ月前から計画的に準備を進め、目的・KPI・コンセプトを明確化
  • ブース装飾、配布物、スタッフ体制は2ヶ月前までに固める
  • 事前告知で集客を最大化し、当日のリード獲得数を向上
  • 事後フォローの設計を準備段階で行い、迅速なフォローを実現

展示会出展の準備は多岐にわたりますが、本記事で解説したスケジュールとチェックポイントを押さえれば、抜け漏れなく進められます。

よくあるご質問

質問:展示会出展の準備は何ヶ月前から始めるべきですか?

回答:一般的には3ヶ月前から本格的な準備を開始することをおすすめします。3ヶ月前に目的設定・予算策定・ブースコンセプトの決定を行い、2ヶ月前に装飾発注や配布物制作、1ヶ月前に集客施策と最終準備を進めます。初出展の場合は、業者選定や社内調整に時間がかかるため、4〜5ヶ月前からスタートすると余裕を持って準備できます。

質問:展示会ブースに必要なスタッフは何人ですか?

回答:ブースサイズによって異なりますが、1小間(3m×3m)の場合は最低2名、推奨3〜4名が目安です。休憩交代や昼食時間を考慮すると、常時2名以上がブースにいる体制が必要です。2小間以上になると、呼び込み・説明・名刺獲得・商談対応といった役割分担が可能になるため、4〜5名以上の配置をおすすめします。

質問:展示会で配布するパンフレットやノベルティは何部用意すればいいですか?

回答:配布物の部数は、名刺獲得目標数を基準に算出します。パンフレットは名刺獲得目標数の1.5倍、チラシは想定ブース来訪者数の2倍、ノベルティは名刺獲得目標数の1.2倍が目安です。過去の出展実績があれば、そのデータを参考にするとより正確に算出できます。初出展で実績がない場合は、やや多めに用意しておくと安心です。

質問:展示会後のフォローはいつまでに行うべきですか?

回答:展示会後のフォローは、可能な限り早く行うことが重要です。理想的には当日〜翌日にお礼メールを送付し、HOTリードには3日以内に架電でアプローチします。来場者は多くのブースを回っているため、時間が経つほど記憶が薄れ、競合他社に先を越されるリスクが高まります。準備段階でお礼メールのテンプレートを作成し、名刺のデータ化を迅速に行える体制を整えておきましょう。

質問:初めての展示会出展で特に注意すべきポイントは何ですか?

回答:初出展で特に注意すべきポイントは3つあります。1つ目は目的とKPIの明確化です。「なぜ出展するのか」「何をもって成功とするのか」を事前に決めておかないと、成果の判断ができません。2つ目は事後フォローの設計です。名刺を獲得しても、フォローの担当者や方法が決まっていないと、せっかくのリードが無駄になります。3つ目はスタッフへの事前ブリーフィングです。トークスクリプトやFAQを準備し、全員が同じレベルで来場者対応できるようにしておくことが重要です。

こちらの記事の監修・執筆者

株式会社EventHub
マーケティングマネージャー 
鈴木 優一
2010年上智大学大学院卒業。新卒でITベンチャー企業に就職。その後エン・ジャパンのwebサービス企画部門への転職を経て、タレントマネジメントシステムを提供するカオナビに社員番号5番で1人目のマーケターとしてジョイン、BtoBマーケティング組織の立ち上げに携わる。FinTechスタートアップのOLTAを経て、2022年5月にマーケティングマネージャーとしてEventHubに参画。

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