【イベントレポート】ウェビナーシリーズ EVENT HACKS#1 を開催しました!

2021年3月23日、EventHub主催のウェビナー『オンライン・セミナーのうまいやりかた』著者に聞く、大規模イベントのオンライン運営方法 が開催されました。

EventHubが主催するこのウェビナーシリーズでは、EventHubエバンジェリストである野中 瑛里子氏がゲストと対談し、オンラインイベントのあり方を模索していきます。オンラインイベントのメリットや開催のコツについて経験豊富な登壇者の方にお話を伺うことで、参加者の皆さんと共にオンラインイベントについて考える機会としていきます。

シリーズ初回となった今回は「オンライン・セミナーのうまいやりかた」著者である高橋 龍征氏をゲストにお迎えし、大規模イベントや研修のオンライン運営方法を伺いました。1時間でオンラインイベントの全てが分かるこのウェビナー、開催の様子を当日の配信風景と共にご紹介していきます!


高橋 龍征氏|conecuri合同会社 代表社員

集客|陥りがちな負の連鎖とは?ポイントを解説

まずは、オンラインイベントの集客についてお話がありました。高橋さんが仰る「多くの人が陥る負の連鎖」とは?それを乗り越える方法はあるのでしょうか?

よくある「死に至る集客」

高橋:「オンラインイベントをやろう」となった時に起こりがちなのが、「とにかく盛大にやろう」と考えて闇雲に集客したり、ゲストの知名度を優先してしまったり、ということ。あるいは、初回一発で成果を出そうとすること。イベントの規模や成果、華々しさに囚われてしまって、イベント開催の「本質」を見落としてしまう方が多いんです。

高橋:例えば、ゲストの知名度について、「一般受け」しそうな登壇者ばかり集めると、当然高い謝礼が発生しますよね?知名度が高い、いわゆる「有名」なゲストを招いたはいいものの、参加者数が足りないと体裁が保てないので、集客にも過度に力を入れなくてはいけなくなります。集客のための広告・PRのためにクリエイティブにもコストを割く必要が出てくる。大規模なので事前準備も大変ですし、当日のリスク対策、事後のフォローにも労力がかかります。

野中:投影されている資料には「死に至る『集客』」との見出しがありますが、イベントの華々しさありきの運営になると、運営の負担を増やして成果が出ない、負のループに陥ってしまうわけですね?

高橋:そうです。「刺さるイベント」には何もしなくても人が集まるものです。逆に言えば「刺さらないイベント」は、広告をあげても集客できないんです。

適正人数で効果を出す

野中:これを防ぐためにはどうしたら良いのでしょうか?

高橋:大事なのは、ターゲットの解像度をあげていくこと。そのために、最終的に達成したい目標や目標達成の指標となる要素を洗い出していくことが必要になります。

高橋:何しろ重要なのは「目的を明確にして、ターゲットを絞る」ことです。ターゲットの課題やニーズを正確に把握して、それに応える形でコンテンツを企画していきます。

野中:ただ派手に開催することよりも、ペルソナを設定して、ターゲットに適切なアプローチをする手段としてイベントを使うことが重要ですよね。

野中:オンラインイベントの規模に関してはいかがですか?大規模の方がいい、と思われている方も少なくないようですが…?

高橋:ターゲットを絞って適正人数にした方がイベント開催の目的が達成されます。ターゲットではない人が混在すると、ターゲットのイベント参加満足度は下がり、コンバージョン率も下がってしまいます。イベントの回数に関しても、1回限りではなくて継続して仮説検証を重ねることが大事なので、継続できるように運営の負荷を軽くすることも必須になります。

初期の集客は「地上戦」

野中:具体的に、どういった方法で集客していくのが良いのでしょう?

高橋:初期の集客は「地上戦」です。広告やクリエイティブ(私は「空中戦」と呼んだりしますけれど)は、コストがかかりますし、着実に効果を出す方法としては脆弱な部分もあります。一方で、目に見える見込み顧客と対話をして直接勧誘する方法(地道に着実に戦うので「地上戦」と呼んでいます)は、関係性を構築することでコンバージョン率を高めることもできますし、ターゲットへの理解を深める機会にもなります。

野中:まずは地道に、というのは非常に大事ですよね。集客って意外と人脈が重要になってきます。認知が広がっていない中でお金をかけるよりは、Facebookなどで個別に声かけをしていくなど地道に取り組み、人脈を広げていくというのはその後に繋がる大事なステップですね。

高橋:野中さん、SNSはどうやって活用されていますか?

野中:ターゲット層に合わせて、Facebook・Twitterを使い分けています。自分がリーチする人たちが何を使っているのか、見極めるようにしています。


野中 瑛里子|EventHubエバンジェリスト , 合同会社N.FIELD代表

盛り上げ|ツールに頼らず事前準備を徹底する


ウェビナー配信中の様子

オンラインイベントは盛り上がらないって本当なのでしょうか?数々のオンラインイベントの開催経験がある高橋さんと野中さんに、オンラインイベントを盛り上げる方法について伺いました。

徹底した事前準備と運営の工夫。ツール以外の部分に注目

高橋:野中さん、オンラインイベントの盛り上げはどういう風に行っていますか?

野中:これは事前準備、仕込みが重要になりますね。私は、プレイベントをやったり、新しいツールを使う時はチュートリアルで使い方を学んでいただいてから開催するようにしています。ツールの使い方を主催者から積極的に周知することで、オンラインに慣れていない方も歓迎する環境を作るのが肝要かと。

高橋:非常に重要なポイントですね。オンラインイベントだから盛り上がらない、という認識を覆すために必要なのは、実はツール以外の部分への工夫なんですね。「使っているツールが悪いのかも…」と思われる方は、今一度、ツール以外の運営・準備について見直してみてください。例えば、今回も事前アンケートにご協力いただきましたけれど、事前に参加者が気になっている点を募集するのは効果的です。こうすることで、質問に答える形で、画面の向こうにいる視聴者を意識したコンテンツ作成ができます。

高橋:当日、リアルタイムで募集する質問の中に「サクラ」を入れておくのも一案です。私の経験から、「人は一番目の質問者になりたがらない」。テキストでチャットに書き込む形でも躊躇される方もいるので、「今日はどこから参加してますか」のような、だれでも迷わず答えられる質問に全員に答えてもらい、気持ちのハードルを下げることもあります。ある程度活性化している雰囲気をつくることで、参加者が本当に気になっていることを引き出すことができます。

対談形式で参加者の声を拾い上げる

野中:こんな質問も届いています。「講師が1人で講演するのと、登壇者が複数いるのでは、どちらの方が良いのでしょうか?」

高橋:今回のような対談形式は、話しやすい良さはあります。

野中:私がイベントを開催する時は、テレビ番組を観ている感覚で視聴できるイベントを設計するようにしています。1人の登壇者の話をずっと聴き続けるというのは、視聴者にとってあまり快適ではないように思いますね。

高橋:テレビ番組のように、というのはいいですね。ラジオなんかも良い例だと思いますよ。メインスピーカーは、スライドなど事前に準備した資料に気が向いてしまって、なかなかリアルタイムで流れてくる質問を適切に拾うのが難しいです。今回、野中さんがやって下さっているように、セッションの内容に沿った質問を適宜ピックアップする役割は必要だとおもいます。

野中:モデレーター・パーソナリティの役割が重要ということですね。そういう経験値がある人を探して登壇していただく、というのも成功の鍵かもしれません。

高橋:複数人の登壇者がいる場合は、Home to Homeでの開催をお勧めします。1人が遠隔なら全員遠隔にした方がいいですね。これは主催者目線でのアドバイスなのですが、オンラインの登壇者とリアルの登壇者が混在していると、どうしてもリアルの会場にいる登壇者のサポートに意識が向いてしまいがちです。どちらかに統一することで、主催者として対等に登壇者に接することができますし、配信関連のリスク軽減にも繋がります。

参加者を迷わせない設計

野中:このウェビナー中にとったアンケートによると、オンラインでの研修を検討されている方もいらっしゃるようです。研修では開催者と参加者の双方向性も重要かと思いますが、オンラインでそれを実現するのはなかなか難しいのではないですか?

高橋:これに関しても、ツール以外の箇所で工夫を凝らすのが大事になります

高橋:例えば、オンライン開催の研修では、Googleスプレッドシートを使ったやりとりをお勧めしています。対面での研修では、ホワイトボードや付箋を使って意見交換を活発にする方法がよく使われますよね?オンラインでそれをそのまま再現しようというのは難しいですが、スプレッドシートは同時編集に適していて複数人の意見をリアルタイムで共有できるツールとして効果的に使うことができます。

野中:こういった資料を事前に作って共有することで、参加者に迷いを与えないというメリットもありますね。参加方法についての方向性を示しておく、というか。

高橋:そうですね。オンラインだから、と難しく考えずに、「そもそもなんで付箋を使いたかったのか?」「どういう研修にしたいのか?」と原点に立ち返ることで、何が必要か見えてくると思いますよ。

運営|スムーズな開催を実現させる運営のコツ

オンラインイベントを開催する際、最も懸念されるのがその運営方法ではないでしょうか?そもそも何人で運営するのがいいのか?気をつけるポイントも交えつつ、お話を伺いました。

運営人数は何人がベスト??

高橋:野中さんご自身がイベントを運営する際、大体どれくらいの人数でイベント運営を行われますか?

野中:昨年開催した大規模なオンラインカンファレンスについては、ほとんど私1人で行いました。確かに人数が多いと助かる部分はあります。でもチームメンバーとの間で、情報共有を漏れなくしなくてはならないことに対するリスクや労力を考慮すると、なるべく1人に集約するのが大事かな、と思います。

高橋:本当におっしゃる通りで、可能な限りシンプルにする、というがポイントになります。私自身、300人規模でもワンオペでやってしまったりします。自分1人で運営の全てを担当することで一通りの流れが頭に入るので、オンラインイベントに関するノウハウを蓄積する、フローを理解する、という点でもメリットがあります。

野中:準備期間やメンバーのリテラシーにもよりますが、個人的には、最大でも3人で運営するのがいいのではないかという印象を持っています。

高橋:マックスで3人、というのは共感ですね。前提条件にもよりますが、シンプルな運営という意味では少ないに越したことはないのかもしれません。

本番環境でのテストが大事

高橋:まさに今日のウェビナー開催でも音声トラブルがあり、冒頭でバタついてしまいました。EventHub主催のウェビナーシリーズ第一弾で、リハーサルにはない外付けマイクを急遽使ったからこその失敗かと思います。今日の反省を活かせば、2回目以降は上手くできるのでPDCAを回していくのが改善への近道ですね。

高橋:今日もリハーサルはしていたのですが、それでも本番中にトラブルが生じてしまった。このことから言えるのは、本番環境で小さく実際にやってみるのが一番良いということ。「失敗が許される」チーム内・社内の人などを相手に、トライアルイベントを実施することで当日のリスクを軽減することができます。

高橋:あとよくあるのは、リンクの差し替えによる混乱。ZoomなどURL1つで簡単にアクセスできるツールは便利です。一方、メールの本文に直接貼り付けて参加者に送付してしまうと、後からURLを変更する場合に参加者に大きな混乱を招いてしまいます。こういったヒューマンエラーが発生し得る仕組みを極力減らすことが肝要です。例えばPeatixを使うなど、リンクを一元管理できるツールを導入することで、後から簡単に情報を差し替えられるようになります。

ツール選び|目的、シンプル、基本機能、がカギ

オンラインイベント向けに開発されたツールは様々あります。どのツールを選ぶのが良いのか、初めてオンラインイベントを開催する際には選定が難しいかもしれません。様々なツールを使ってイベントを開催してきた野中さんに、ツール選びのコツを伺いました。

大事なのは「目的から考える」こと

高橋:ツール選びの前提として、ツールの比較から入らないことの重要性をお伝えしたいです。ツールを横並びに比べてどれがいいのか漠然と検討するのではなく、実現したいことから必要機能を落とし込んでいくことが大事です。

高橋:これはツール選定に限らず言えることなのですが、「その要件は本当に必要か、目的から考える」ことが重要です。研修で出欠を取ることは本当に必要なのか、開催後に提出するレポートなど代用できないのか?セミナーの出欠は本当に必要か、事後アンケートで十分なのではないか?ツールありきではなく、より「原始的」な解決策と比較することで、目的や手段を細分化してツールに必要な機能を絞り込んでいきます。

高橋:とは言っても、それぞれのツールについて、特徴を知りたいを思われている方もいらっしゃるかもしれません。ここからは、多くのオンラインイベントを開催されてきた野中さんに、ご自身の経験を踏まえてお話を伺っていきます。

それぞれのツールについて

野中:これまで私が使用してきたツールをこちらにまとめています。真ん中に配置したZoomに関しては、最も汎用性が高いと感じています。

野中:一方的な情報発信ではなく、双方向性のあるオンラインイベントには、oViceやRemoが適していますね。参加者がオンライン上で場所を移動して、近くにいる参加者とフランクに会話できるツールです。大人数が集まるオンラインイベントで、気になる参加者に「近づいて」実際に話してみる、パーティー的な使い方もできるツールだと思います。

野中:イベントによっては、もっとフォーマルに、参加者同士で商談や面談を行いたいシーンもありますよね?実際、私もイベントを開催する中で、オンライン名刺交換・商談・スケジューラー・アポ取りなど、全て1つのツールで完結するものを探していました。そんな時に知ったのがEventHubだったんです。

野中:Zoomのブレイクアウトルームで商談を実施することもできますが、時間やルームの管理などオペレーションが複雑になるのが大きな課題でした。この点、EventHubでは参加者同士が直接アポ取りをできるので、運営側の負担を減らしながらマッチングできるツールとして、画期的だと思いました。

野中:オンラインイベントに不可欠な通信の安定性。この面で優れているのは、ZoomやoVice、そしてEventHubだと感じています。社内で実際にツールを使ってみて、「この条件で安定しなかったら、今回のターゲットには合わない」ということを検証しながら、適宜ツールを選定していく作業を繰り返しました。

高橋:キャプチャソフトについても質問がきています。今日のウェビナーでは何を使っているんですか?

野中:Open Broadcaster Softwareなどもメジャーですが、今回はRestreamを使っています。画面上にスライドを投影しながら、私たち登壇者の顔を映すことができるので、ライブ感の演出にも繋がっていますね。

高橋:今回は「EventHub × YouTube × Restream」という組み合わせでやっていますが、ツール同士の整合性もありますからね。ここでもやはり、リハーサルではなく、本番環境での検証が重要になってきます。

その他の質問

今回は事前アンケートへの回答・当日寄せられた質問など、参加者の皆さんから数多くの質問を頂戴いたしました。最後に質問される方が多かった事項への回答を簡単に記載いたします。

Q.オンデマンド形式と配信形式はどっちがいいのでしょうか?

A.アーカイブ動画もそうですが、「あとで視聴しよう」を思われるものは視聴率が下がる傾向にあります。いつでも視聴できる、というのは便利なようにも聞こえますが、ライブ配信ならではの希少性(「ここでしか得られないもの」)を打ち出すことで、より多くの方に視聴していただけます。

ウェビナーシリーズの第一弾、いかがだったでしょうか?

たった1時間で完結するとは思えないほど、内容の濃いウェビナーとなりました。今後も月に一度のペースで、オンラインイベントについて考えるウェビナーを開催していきます。皆さまのご参加、お待ちしております!

まずはEventHub概要資料をご覧ください。

>お問い合わせはこちら
問合せ画像
関連記事