カンファレンスマーケティングの戦略設計|リード獲得と商談化
カンファレンスは、BtoBマーケティングにおいて重要なリード獲得・商談創出の機会です。しかし「開催しても名刺が集まるだけで商談につながらない」「費用対効果が見えず、継続開催の社内承認が得られない」といった課題を抱える企業も少なくありません。
本記事では、カンファレンスを「単発のイベント」ではなく「マーケティング戦略の一環」として設計するための考え方と、リード獲得から商談化までを実現する具体的な手法を解説します。目的設定から集客施策、当日の体験設計、事後フォローまで、成果を上げるポイントをステップごとにご紹介します。
カンファレンスマーケティングとは?目的と期待できる成果
カンファレンスマーケティングの定義とビジネスにおける位置づけ
カンファレンスマーケティングとは、自社が主催社となってカンファレンス(大規模な会議・イベント)を開催し、リード獲得・ブランド認知向上・商談創出などのマーケティング成果を得る戦略的な取り組みを指します。
展示会への出展やウェビナー開催と異なり、自社が主催社として全体をコントロールできる点がカンファレンスの大きな特徴です。登壇者の選定、セッションのテーマ設計、参加者との接点の作り方まで、すべてを自社のマーケティング目的に沿って設計できます。
近年、日本のBtoB企業においてもカンファレンスマーケティングへの関心が高まっています。その背景には、デジタルマーケティングだけでは得られないリアルな体験価値への再評価と、オンライン・ハイブリッド形式の普及により開催のハードルが下がったことがあります。
カンファレンスと他のイベント施策の違い
| 施策 | 主催 | 規模 | 参加者との関係性 | データ取得 |
|---|---|---|---|---|
| カンファレンス(自社主催) | 自社 | 大規模(100〜数千名) | 深い接点を設計可能 | 詳細な行動データを取得可能 |
| 展示会出展 | 外部主催社 | 大規模 | 限定的(ブース来訪者のみ) | 名刺情報が中心 |
| セミナー・ウェビナー | 自社 | 小〜中規模 | 一方向になりがち | 参加・視聴データ |
カンファレンスとセミナーの詳しい違いについては、「カンファレンスとセミナー・イベントの違い|使い分けと選び方」で解説しています。
👉️カンファレンスとセミナー・イベントの違い|使い分けと選び方

カンファレンス開催で得られる3つのマーケティング成果
カンファレンスマーケティングを戦略的に実践することで、以下の3つの成果を同時に得ることが可能です。
- リード獲得(新規見込み顧客の創出)
カンファレンスは、特定のテーマや業界課題に関心を持つターゲット層を一度に多数集められる施策です。参加申込みの時点で企業名・役職・連絡先などの情報を取得でき、質の高いリードを効率的に獲得できます。 - ブランド認知・業界ポジショニングの確立
自社が主催社として業界の有識者や専門家を招き、最新トレンドや課題について議論する場を提供することで、業界でのリーダー企業としてのブランドイメージを構築できます。メディアへの露出やSNSでの拡散も期待でき、認知拡大に大きく貢献します。 - 既存顧客との関係深化・コミュニティ形成
既存顧客を招待し、ユーザー事例の発表やネットワーキングの機会を設けることで、顧客エンゲージメントを高められます。ユーザー同士のコミュニティ形成を促進することで、解約防止やアップセル・クロスセルの機会創出にもつながります。
「イベント」で終わらせない戦略的アプローチの重要性
カンファレンスマーケティングで成果を出すためには、単発のイベントとして終わらせず、継続的なマーケティング活動の中に定着させることが重要です。
多くの企業が陥りがちなのが、「開催することが目的化」してしまうケースです。準備に追われ、当日の運営で手一杯になり、終了後のフォローが疎かになるといった状態では、せっかく獲得したリードを商談につなげることができません。
成果を出している企業は、カンファレンスを「点」ではなく「線」で捉えています。具体的には、定期開催するウェビナーでリードを育成しながら、年に1〜2回のカンファレンスで大きく認知を拡大し、その後のフォロー施策で商談化を図るという流れを構築しています。
このように、ウェビナーとカンファレンスを連動させた継続的なイベントマーケティング戦略を設計することで、中長期的に成果を出すことが可能になります。
成果を出すカンファレンスの目的設計とKPI設定
ファネル別に考える目的設定|認知・リード獲得・商談創出
カンファレンスの目的は、自社のマーケティングファネルのどの段階にアプローチしたいかによって異なります。目的が曖昧なままでは、企画も集客もぶれてしまい、期待する成果を得ることはできません。
潜在層向け(認知拡大・業界啓蒙)
まだ自社や自社製品を知らない層に対して、業界全体の課題やトレンドをテーマにしたカンファレンスを開催します。「AI活用」「DX推進」など、幅広い関心を集めるテーマを設定し、多くの参加者を集めることを優先します。
顕在層向け(リード獲得・課題顕在化)
すでに課題を認識している層に対して、より具体的なソリューションや実践事例を提示するカンファレンスを開催します。自社の専門性を示しながら、参加者の課題を顕在化させ、具体的な検討を促します。
比較検討層向け(商談創出・導入検討促進)
導入を具体的に検討している層に対して、製品デモやユーザー事例、個別相談会を組み込んだカンファレンスを開催します。参加者数よりも、商談化率や受注貢献を重視した設計を行います。
目的に応じたKPI設計の考え方
カンファレンスのKPIは、設定した目的に応じて適切に設計する必要があります。「集客数」だけを追いかけると、質の低いリードばかりが集まり、商談につながらないという事態に陥りかねません。
目的別KPI設計の例
| 目的 | 主要KPI | 補助KPI |
|---|---|---|
| 認知拡大 | 参加申込み数、メディア露出数 | SNS言及数、Webサイトアクセス数 |
| リード獲得 | 有効リード数、ターゲット含有率 | セッション参加率、アンケート回答率 |
| 商談創出 | 商談化数、商談化率 | HOTリード数、個別相談会申込み数 |
| 顧客関係強化 | 既存顧客参加率、NPS | 事例登壇承諾数、コミュニティ参加率 |
特にBtoBのカンファレンスマーケティングでは、「商談化率」と「受注貢献額」をゴールに逆算してKPIを設計することが重要です。営業部門と連携し、「どのような参加者を何名獲得すれば、最終的にいくらの売上につながるか」を事前に試算しておきましょう。
ROI計算の基本|投資対効果を可視化する方法
カンファレンスマーケティングを継続的に実施するためには、投資対効果(ROI)を可視化し、社内のステークホルダーに対して成果を報告できる状態を作ることが不可欠です。
カンファレンス費用の主な構成要素
- 会場費(オフライン開催の場合)
- 配信プラットフォーム費用(オンライン・ハイブリッドの場合)
- 登壇者への謝礼・交通費
- 集客のための広告宣伝費
- 制作費(LP、バナー、動画、資料など)
- 運営スタッフの人件費
- ケータリング・懇親会費用
ROI計算の基本式
ROI(%)=(カンファレンス経由の売上 − 開催費用)÷ 開催費用 × 100
ただし、カンファレンスの成果はすぐに売上として現れるとは限りません。リードの獲得から商談化、受注までには数カ月以上かかるケースも多いため、中間指標として「リード単価」や「商談単価」を算出し、トラッキングすることをおすすめします。
リード単価・商談単価の算出方法
リード単価 = 開催費用 ÷ 獲得リード数
商談単価 = 開催費用 ÷ 創出商談数
ターゲット設計とプログラム企画|集客の質を高める戦略
ターゲット企業・参加者ペルソナの明確化
カンファレンスの成果は、「誰を集めるか」で大きく変わってきます。多くの参加者を集めても、自社のターゲットと合致していなければ、商談にはつながりません。
ターゲット設計では、まず「どのような企業の、どのような役職・担当者に来てほしいか」を明確にします。
ターゲット設計で検討すべき項目
- 業種・業界(製造業、IT、金融など)
- 企業規模(大企業、中小企業、スタートアップ)
- 役職・職種(経営層、マネジメント層、担当者層)
- 抱えている課題・ニーズ
- 導入検討フェーズ(情報収集段階、比較検討段階など)
ペルソナを設計する際は、営業部門やインサイドセールスの知見を活用しましょう。実際に商談化・受注につながりやすい顧客像をリサーチし、ペルソナに反映させることで、「質の高いリード」を集めるカンファレンス設計が可能になります。
登壇者・セッション設計で参加動機を作る
参加者がカンファレンスに申し込む最大の動機は、「自分にとって価値のある情報が得られるかどうか」です。魅力的な登壇者と、参加者の課題に刺さるセッション設計が、集客成功の鍵を握ります。
登壇者選定のポイント
- 業界で知名度・影響力のあるリーダーや専門家
- 自社の顧客であり、成功事例を語れるユーザー企業の担当者
- 最新トレンドや未来の可能性について語れる有識者
セッション形式の種類と特徴
| セッション形式 | 特徴 | 効果的な活用シーン |
|---|---|---|
| 基調講演 | 著名人による講演で集客力を高める | オープニング、認知拡大目的 |
| パネルディスカッション | 複数の登壇者による議論で多角的な視点を提供 | トレンド・課題の深掘り |
| 事例セッション | ユーザー企業の実践事例を紹介 | 導入検討層への訴求 |
| ワークショップ | 参加者が手を動かして学ぶ | 体験価値の提供、エンゲージメント向上 |
| ランチョンセッション | 昼食時間を活用したセッション | スポンサー枠、効率的な時間活用 |
セッションのプログラム設計では、参加者の理解度や検討フェーズに合わせて、「入門→実践→応用」の流れを意識すると、満足度が高まります。
カンファレンスの企画・進め方の詳細については、「イベント企画の進め方|成功するアイデア・手順・事例を解説」をご覧ください。
👉️初めてでも失敗しないイベント企画の進め方|成功するアイデア・手順・事例を解説

スポンサー・共催企業との連携によるリーチ拡大
自社単独での集客には限界があります。スポンサー企業や共催パートナーとの連携により、リーチを大幅に拡大できます。
スポンサー連携のメリット
- スポンサー企業の顧客リストへの告知が可能
- スポンサー企業のブランド力による集客力向上
- 開催費用の一部をスポンサー収入で賄える
共催パートナー選定の基準
共催相手を選ぶ際は、「同じターゲット層を持ちながら、競合ではない企業」が理想的です。例えば、イベントマーケティングプラットフォームを提供する企業と、マーケティングオートメーション(MA)ベンダーが共催するケースでは、互いの顧客リストを活用した相互送客が実現できます。
集客施策の設計|リード獲得を最大化するマーケティング手法
オウンドメディア・メールマーケティングの活用
カンファレンスの集客において、まず活用すべきは自社が保有するハウスリスト(既存の見込み顧客リスト)です。すでに自社と接点のあるリードは、参加のハードルが低く、商談化率も高い傾向にあります。
メール施策のポイント
- セグメント配信:業種・役職・過去のイベント参加履歴などでリストを分け、訴求内容を最適化
- 複数回のリマインド:告知開始時、開催1週間前、前日など、タイミングを変えて複数回配信
- パーソナライズ:件名や本文に担当者名を入れ、開封率を向上
また、自社のオウンドメディア(ブログ、コラム)やWebサイトでの告知も重要です。SEO記事からの流入やサイト訪問者に対して、カンファレンスの情報を効果的に訴求しましょう。
SNS・広告施策によるリーチ拡大
自社リストだけでは十分な集客数を確保できない場合、SNSや広告を活用して新規層へのリーチを拡大します。
BtoBカンファレンスに効果的なSNS・広告施策
- Facebook広告:類似オーディエンス配信で、既存顧客に似た層にアプローチ
- リターゲティング広告:自社サイト訪問者に対してカンファレンス広告を表示
- LinkedIn広告:役職・業種・企業規模でターゲティングが可能。BtoB向けに最適
- X(旧Twitter):ハッシュタグを活用した拡散、登壇者のフォロワーへのリーチ
SNSでは、登壇者に告知投稿を依頼することで、フォロワーへのオーガニックリーチも期待できます。登壇者用の告知テンプレート(画像・テキスト)を用意しておくと、スムーズに協力を得られます。
共催・メディアパートナーシップによる外部集客
業界メディアや専門媒体とのパートナーシップは、ターゲット層への効率的なアプローチ手段として有効です。
活用できるパートナーシップ施策
- 業界メディアへの記事広告・バナー広告
- メディアのメールマガジンでの告知
- プレスリリースの配信
- 共催企業による顧客リストへの告知
特に、メディアパートナーとして協力を得られれば、イベントレポートの公開や事後の記事化など、開催後の露出も期待できます。
申込み率を高めるランディングページ(LP)設計
集客施策でいくらリーチを広げても、ランディングページ(LP)のクオリティが低ければ申込みにはつながりません。LPは「カンファレンスの魅力を伝え、申込みという行動を促す」ための重要なタッチポイントです。
LP設計のチェックポイント
- 参加メリットの明確な訴求:「何が得られるか」を冒頭で端的に伝える
- 登壇者情報の充実:顔写真・肩書き・プロフィールを掲載し、権威性を示す
- プログラム詳細:セッション内容・タイムテーブルを明示し、参加イメージを持たせる
- 申込みフォームの最適化:入力項目は必要最低限に。離脱を防ぐためにステップ分割も検討
- 参加費・開催形式の明示:無料/有料、オンライン/オフライン/ハイブリッドを明確に
オンラインでの集客施策を詳しく知りたい方は、「【厳選】ウェビナー集客で成果を出す7つの成功施策」も参考にしてください。

無償で行える告知・プロモーション施策の詳細については、「セミナー告知で参加者が集まる!無料でできるメールでの集客&SNSの活用術」で解説しています。
👉️セミナー告知で参加者が集まる!無料でできるメールでの集客&SNSの活用術

当日の体験設計|商談化につながる参加者データの取得
受付・チェックインでのデータ取得設計
カンファレンス当日は、参加者データを正確に取得する絶好の機会です。オフライン開催であれば受付時のQRコードチェックイン、オンライン開催であればログイン情報との紐付けにより、「誰が実際に参加したか」を把握できます。
データ取得設計のポイント
- 事前申込みデータとの突合:申込み情報と当日参加を紐付け、不参加者を特定
- オンライン・オフラインの一元管理:ハイブリッド開催の場合、両方の参加者データを統合
- リアルタイムでのデータ確認:受付状況をリアルタイムで把握し、運営に活用
特にハイブリッドカンファレンスでは、オフラインとオンラインの参加者データが分断されがちです。統合管理できるツールを選定することで、イベント全体を通した正確な効果測定が可能になります。
セッション参加・行動データの活用
カンファレンス中の参加者の行動データは、商談化において極めて価値の高い情報です。「誰が、どのセッションに、どのくらい参加したか」を把握することで、各参加者の興味関心を推測できます。
取得すべき行動データの例
- セッションへの参加有無・視聴時間
- ブース訪問履歴(オフラインの場合)
- 資料ダウンロード履歴
- 質問・チャットでの発言内容
- 他の参加者とのマッチング・交流履歴
これらのデータを活用し、リードスコアリングを行うことで、「HOTリード」を即座に見極められます。例えば、「自社製品に関連するセッションに最後まで参加し、資料もダウンロードした参加者」は、商談化の可能性が高いと判断できます。
アンケート設計|商談化に活かす質問項目
アンケートは、行動データだけでは把握できない「参加者の意向」を直接聞ける貴重な機会です。商談化を見据えた質問項目を設計しましょう。
商談化につながるアンケート質問例
- 現在抱えている課題は何ですか?(複数選択)
- 課題解決のためのツール・サービス導入を検討していますか?
- 導入検討のタイミングはいつ頃ですか?
- 個別の相談・デモのご希望はありますか?
- 今後、関連情報のご案内をお送りしてもよろしいですか?
アンケート回答率を高める工夫
- セッション終了直後に回答を依頼(離脱前に回収)
- 回答者限定の特典を用意(資料、抽選プレゼントなど)
- 質問数を絞り、回答負荷を軽減(目安:5〜10問)
アンケート設計の詳細については、「セミナーアンケートの質問例と設計のポイント:回答率と商談化に効果をもたらす設問とは」をご覧ください。
👉️セミナーアンケートの質問例と設計のポイント:回答率と商談化に効果をもたらす設問とは

参加者同士の交流・マッチング機能の活用
カンファレンスならではの価値の一つが、参加者同士のネットワーキングです。特にBtoBにおいては、参加者間の交流が新たなビジネス機会の創出につながることも少なくありません。
ネットワーキング施策の例
- 参加者一覧の公開:事前に参加者リストを公開し、会いたい人を探せるようにする
- マッチング機能:プロフィール情報をもとに、相性の良い参加者をレコメンド
- 1on1ミーティング予約:事前にオンライン面談を予約できる仕組みを提供
- 懇親会・交流会の実施:オフライン開催時には、セッション後の交流時間を設ける
こうした交流の場を設計することで、参加者の満足度が向上するだけでなく、「誰と誰が出会ったか」という交流データも取得できます。コミュニティ形成や商談創出の促進に活用しましょう。
事後フォローの設計|リードを商談・受注につなげる
参加者データの整理とリードの優先順位付け
カンファレンス終了後、最初に行うべきは参加者データの整理と分析です。すべての参加者に同じアプローチをするのではなく、データに基づいて優先順位を付け、効率的なフォローを実施します。
リードの優先順位付け基準の例
| 分類 | 条件 | フォロー方針 |
|---|---|---|
| HOT リード |
アンケートで「すぐに検討したい」と回答、または個別相談を希望 | 24時間以内に営業からコンタクト |
| WARM リード |
複数セッションに参加、資料DLあり | 1週間以内にインサイドセールスからアプローチ |
| COLD リード |
参加のみ、アンケート未回答 | メールでのナーチャリング継続 |
行動データとアンケート回答を掛け合わせることで、より精度の高いスコアリングが可能です。
インサイドセールスとの連携|スピード対応の重要性
カンファレンス後のフォローは、スピードが命です。参加者の記憶が鮮明なうちにコンタクトを取ることで、商談化率は大きく向上します。
推奨されるフォロータイミング
- HOTリード:開催後24〜48時間以内に電話またはメールでコンタクト
- WARMリード:開催後1週間以内にアプローチ
- 全参加者:開催後3日以内にお礼メール+資料送付
フォローの際は、単なるお礼ではなく、参加者の行動データを活かした文脈のあるコミュニケーションを心がけましょう。「〇〇のセッションにご参加いただきましたが、△△についてご興味はありますか?」といった具体的な言及が、返信率を高めます。
MA・SFAツールとのデータ連携による継続フォロー
カンファレンスで獲得した参加者データを、マーケティングオートメーション(MA)やSFA(営業支援システム)に連携することで、継続的なフォローが可能になります。
- 顧客情報の一元管理:既存リードとの重複チェック、情報の統合が容易
- ナーチャリングシナリオへの組み込み:参加者セグメントに応じたメールシナリオを自動実行
- 営業への引き渡しの効率化:スコアリング結果に基づき、自動で営業にアラート
主要なMA・SFAツール(Salesforce、Marketo、HubSpotなど)と連携できるカンファレンス運営ツールを選定しておくと、手作業でのデータ突合作業を大幅に削減できます。
次回開催・ウェビナーへの誘導で継続接点を作る
カンファレンスは単発のイベントで終わらせず、継続的な接点構築のきっかけとして活用しましょう。参加者を自社の定期ウェビナーに誘導することで、リードナーチャリングを継続できます。
継続接点構築の施策例
- カンファレンス参加者限定のフォローアップウェビナーを開催
- 次回カンファレンスの先行案内を送付
- 参加者限定のコミュニティ(Slackグループなど)への招待
- 関連コンテンツ(ホワイトペーパー、事例資料)の継続配信
このように、カンファレンスを起点として継続的なイベントマーケティング施策を展開することで、中長期的な成果の最大化が実現できます。
ウェビナーを活用したマーケティング戦略については、「ウェビナーマーケティングとは?リード獲得と商談化を最大化するマーケティング手法」で詳しく解説しています。
👉️ウェビナーマーケティングとは?リード獲得と商談化を最大化するマーケティング手法

カンファレンスマーケティングを成功させるツール選定
カンファレンス運営に求められる機能要件
カンファレンスマーケティングで成果を上げるためには、適切なツール選定が欠かせません。イベントを運営するためだけのツールではなく、「マーケティング成果につながるデータを取得・活用できるツール」を選ぶことが重要です。
カンファレンス運営ツールに求められる主な機能
- 参加者管理機能:申込み受付、参加者情報の一元管理
- 受付・チェックイン機能:QRコードによるスムーズな受付、データ連携
- オンライン配信機能:ライブ配信、オンデマンド配信への対応
- ハイブリッド対応:オフラインとオンラインの参加者データを統合管理
- 行動データ取得機能:セッション参加履歴、視聴時間などの詳細ログ
- アンケート機能:回答データの取得と分析
- MA・SFA連携機能:外部ツールへのデータ自動連携
- ネットワーキング機能:参加者一覧、マッチング、チャット
ツール選定で失敗しないためのチェックポイント
ツール選定の際は、自社の開催形式・規模・マーケティング目的に合った機能を備えているかを確認しましょう。
ツール選定チェックリスト
- 想定する開催規模(参加者数)に対応しているか
- オンライン・オフライン・ハイブリッドなど、希望の開催形式に対応しているか
- 必要な行動データを取得できるか
- 自社で利用しているMA・SFAツールと連携できるか
- イベントページのデザインを自社ブランドに合わせてカスタマイズできるか
- 導入・運用サポート体制は充実しているか
- 費用対効果は見合っているか
カンファレンス運営ツールの詳しい比較については、「カンファレンス運営ツール比較|選び方のポイント」で解説しています。

まとめ:カンファレンスを戦略的マーケティング施策に
成果を出すための5つのポイント(総括)
本記事で解説したカンファレンスマーケティングの戦略設計について、成果を出すためのポイントを5つにまとめます。
- 目的を明確にし、KPIを逆算設計する
「何のためのカンファレンスか」を定義し、商談化・受注貢献をゴールにKPIを設計 - ターゲットを絞り、質の高いリードを集める
「誰に来てほしいか」を明確にし、ペルソナに刺さる企画・集客施策を実施 - 当日の行動データを徹底的に取得する
セッション参加、アンケート回答、交流履歴など、商談化に活かせるデータを収集 - スピード感あるフォローで商談化を促進する
HOTリードには24〜48時間以内にアプローチ、データに基づく優先順位付けを実施 - 単発で終わらせず、継続的な施策に発展させる
ウェビナーやコミュニティと連動し、中長期的なリード育成の仕組みを構築
まずはROI設計から始めよう
カンファレンスマーケティングを成功させるためには、事前の戦略設計が不可欠です。まずは、自社のカンファレンスにどれだけの投資をし、どれだけの成果(リード数・商談数・売上)を期待するのかを明確にしましょう。
ROIを可視化することで、社内の意思決定者に対してカンファレンス開催の価値を説得力をもって伝えられるようになります。また、開催後の振り返りにおいても、定量的な評価が可能になります。
よくあるご質問
質問:カンファレンスマーケティングとイベントマーケティングの違いは何ですか?
回答:イベントマーケティングは、展示会出展・セミナー・ウェビナー・カンファレンスなど、さまざまなイベント施策を活用したマーケティング活動の総称です。一方、カンファレンスマーケティングは、自社が主催する大規模なカンファレンスを軸にリード獲得・ブランド認知向上・商談創出を行う戦略を指します。カンファレンスは自社が主催社として全体をコントロールできるため、参加者体験やデータ取得を自社のマーケティング目的に最適化できる点が特徴です。
質問:カンファレンスで獲得できるリード数の目安はどのくらいですか?
回答:規模や業界、テーマによって大きく異なりますが、BtoB向けカンファレンスでは、参加者のうち20〜40%程度を有効リード(ターゲット条件に合致し、フォロー対象となるリード)として獲得できるケースが一般的です。ただし、単純な「リード数」だけでなく、「商談化率」や「ターゲット含有率」を重視した設計が、最終的な成果につながります。
質問:カンファレンスとウェビナーはどのように使い分けるべきですか?
回答:カンファレンスは年に1〜2回の大規模施策として、認知拡大・大量リード獲得・業界ポジショニング確立に活用します。一方、ウェビナーは定期開催(月1〜4回程度)することで、カンファレンスで獲得したリードのナーチャリングや、継続的な接点維持・商談化を担います。両者を連動させることで、マーケティングファネル全体をカバーする効果的なイベントマーケティング戦略が構築できます。
質問:カンファレンスの費用対効果(ROI)はどのように測定すればよいですか?
回答:カンファレンスのROIは、「(カンファレンス経由の売上 − 開催費用)÷ 開催費用 × 100」で算出します。ただし、BtoBでは商談化から受注までに数カ月かかることも多いため、中間指標として「リード単価(開催費用÷獲得リード数)」や「商談単価(開催費用÷創出商談数)」をトラッキングすることをおすすめします。これらを他のマーケティング施策と比較することで、カンファレンスの相対的な費用対効果を評価できます。
質問:オンラインとオフライン、どちらの形式でカンファレンスを開催すべきですか?
回答:目的やターゲットによって最適な形式は異なります。オフライン開催は、参加者同士の交流や体験価値を重視する場合に適しています。オンライン開催は、地理的な制約なく幅広い参加者を集められ、詳細な視聴データも取得しやすい点がメリットです。近年は、両方のメリットを活かした「ハイブリッド開催」を選択する企業も増えています。ハイブリッド開催では、オフラインとオンラインの参加者データを一元管理できるツールの選定が重要です。
こちらの記事の監修・執筆者
![]() |
株式会社EventHub マーケティングマネージャー 鈴木 優一 |
| 2010年上智大学大学院卒業。新卒でITベンチャー企業に就職。その後エン・ジャパンのwebサービス企画部門への転職を経て、タレントマネジメントシステムを提供するカオナビに社員番号5番で1人目のマーケターとしてジョイン、BtoBマーケティング組織の立ち上げに携わる。FinTechスタートアップのOLTAを経て、2022年5月にマーケティングマネージャーとしてEventHubに参画。 |
