業界を超えた繋がりを。建築業界の発展を支える新聞社が考えるオンラインイベント

主催社: 日刊建設工業新聞社

イベントタイプ: 展示会

開催形式: オンライン 業界: メディア

開催形式 オンライン

業界 メディア

2021年2月、日刊建設工業新聞社は国土交通省関東地方整備局と連携して、大規模展示会を実施しました。20年の長きにわたって関西で開催されてきた「建設技術展」を、今年初めて関東で開催した建設技術展 2020 関東。当初はリアル開催を予定していましたが、コロナ禍でやむ無くオンライン開催へと切り替えることになりました。

また、同社は、新型コロナウイルスの感染拡大が続く2020年10月から、精力的にウェビナーの開催を行っています。

今回は、展示会やウェビナーの運営に携わった担当者の方に、コロナ禍で同社が尽力してきたオンラインイベントの開催について、お話を伺いました。

業界内、ひいては業界外にアプローチ。初のオンライン展示会開催の背景

当日の配信風景

ー 始めに、展示会「建設技術展 2020 関東」を開催するに至った背景を教えてください

当社は、1928年に「鉄道新聞」を創刊しました。戦中には政府の情報統制下で「土木建築新聞」「勤労新聞」に名称変更しつつ、長きにわたって新聞を作り続けてきました。そして2020年10月15日付、創刊2万号を達成するに至りました。

新聞社としての歩みを続ける傍ら、当社は10年来、「建設技術展近畿」を大阪で毎年開催しています。民間企業が開発を進める最先端の技術や工法を展示・紹介する目的で、業界内の交流活性化・情報交換を目指して、会場での展示会を実施してきました。展示会を通じて産学官の交流を促し、建設技術の更なる高度化やより広範囲での新技術開発を促進。日々現場で行われている工事で、積極的に新技術を取り入れてもらうことを目指して、開催を続けています。

このような近畿での展示会開催の実績を受け、関東でも「建設技術展」を開催してほしいというお声を頂戴するようになっていました。そこで、本紙創刊2万号の記念事業として、今年度初めて関東で「建設技術展」を開催する運びとなりました。

ー 今回は、関東で初めての開催だったのですね。改めて、今回の展示会開催の目的を教えてください

近畿での開催同様、建設技術の開発・導入促進を目標として開催した展示会です。

特に今年は、弊社が主催する「建設技術展2020 関東」と、国土交通省関東地方整備局が主催する「建設技術フォーラム」を併催することが決まっていました。視座をより高くもち、建設業界内での情報交換に留まらず、建設技術と他業界の技術を掛け合わせることも目的の1つとして開催に挑みました。

関東地方整備局が毎年開催している「建設技術フォーラム」では、「X-Tech(クロステクノロジー)を実現する新技術」をテーマに、講演や技術発表、技術展示などが行われています。今年度は、当社主催の建設技術展と同じ会場で、建設現場の生産性向上策に関連する講演会やセミナーを関東地方整備局企画で併催することになりました。

本イベントの愛称として定めた「Construction Xross」は、X-Tech(クロステクノロジー)を取り入れた建設技術を表したものです。建設業界を牽引する新聞社として、更なる建設業界の促進に寄与すべく、より大規模な形での展示会開催に踏み切りました。

ー 当初はリアル開催とオンライン開催との双方で実施する予定だったそうですね?

そうですね。開催時期についても、当初は2020年7月に実施を予定していました。それが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、2021年2月に開催を延期しました。しかし、これも緊急事態宣言の発出でリアル開催は困難に。主催者側の懸念もありましたし、出展企業からもコロナ禍での出展に際して不安なお声を頂戴していたので、会場での開催は一切取りやめ、全面オンラインでの開催へ切り替えました。

当初はリアル会場に出展ブースを設ける予定だったので、対面でのコンテンツ提供を検討されていた出展企業がほとんどでした。イベント開催の直前になってオンラインにシフトしたことで、出展企業には負担をかける形にはなってしまいました。オンラインでの出展方法についても、オンラインで閲覧できる資料作成などにお手間をかけることになってしまいましたし、各企業のリソースによってオンライン出展する内容に差が出てしまったのは、主催者として改善すべき点だと感じました。

参加者の様子が一目で分かる。展示会当日の様子をデータで見える化

イベント開催に向けた社内ミーティングの様子

ー 展示会をオンラインで開催するにあたって、EventHubの機能の中で便利だと感じたものはありますか?

参加者情報が詳細にデータとして残せる点ですね。主催者としても参加者管理の際に便利だと感じましたし、出展企業にリードとして納品することができるので、新規販路拡大に役立てていただけたのではないかと手応えを感じています。

出展者ページを閲覧した人、動画を視聴した人、資料をダウンロードした人。どの参加者がどういうアクションをとったのかということが、一目で把握できるのは、オンラインならではの良さですね。

確かに、会場で大勢の来場者と一気に名刺交換を行うことは、リアル開催の展示会において大きなメリットでもあります。しかし今回のオンライン開催では、場合によっては、リアル開催時よりも大勢の来場者情報が得られたというお声も見受けられました。

また、取得したデータをEventHubで分析することができるのも便利でした。従来は、データ分析とイベント開催は別のツールで行う必要があるので手間もかかります。今回はそれを全てEventHubで行うことができたので、取得したデータを無駄にすることなく活用できたと感じています。

ー オンラインイベントは申し込みのハードルが下がる一方、当日のログイン率が減少する傾向にあります。今回の展示会では、高い水準のログイン率を記録されたようですが、運営側として工夫されたことを教えてください

急にオンライン開催に切り替えたので、参加者が減ってしまうのではないかという懸念がありました。そこで、当社の紙面だけでなく、一般紙や雑誌など、普段は告知を掲載しないところでも、イベントの告知を積極的に行いました。あとは、各出展企業の公式サイトより出展のお知らせを掲載していただくなど。出展企業の協力もあって、参加登録者の27%がWeb経由のお申し込みでした。これは想定よりも大きい数字で、当社としても驚きでした。

当社は新聞社なので、例年はアナログ媒体経由でのお申し込みが多いんです。そういう意味では、オンライン開催の可能性を感じた結果でもありますね。

他にも、参加登録者に向けて、リマインドメールを細かく送付しました。今回は初めて、オンライン上に出展ブース(企業ページ)を設けたので、その閲覧を促すなど。EventHubに事前ログインすることで、情報収集ができるということを周知した結果、展示会当日に対する参加者の期待値を上げることができたのではないかと思います。

建設業界の試金石に。オンラインの可能性に期待

ー コロナの影響が拡大する最中、ウェビナーの開催を決定されたようですね。開催に至った経緯を教えていただけますか?

当社は90年以上にわたって、建設専門新聞の全国紙として専門分野の情報を読者に届けることで、建設産業界と共に歩んできました。新聞制作で培ったノウハウ・世界に広がり続ける取材ネットワークを駆使して、建設産業に特化したメディアとしての役割を果たしてきたと考えています。社会全体、日本経済全体がコロナの影響を受ける中で、当社が建設専門紙としてできることを検討し、結果としてウェビナーの開催に至りました。

リアル開催のイベントはできなくなったけれど、建設業界の継続的発展をコロナ禍でも推進していきたい。時代の変化に伴う社会の要請を受ける形で、2020年10月頃からウェビナーの企画を進めました。

ー オンライン展示会だけでなく、オンラインセミナー(ウェビナー)の開催にも尽力していらっしゃるのですね。御社がオンラインに期待していること、今後実現させてみたいことを教えてください

どこからでも参加できる、というのは何よりのメリットだと、オンラインイベントを実際に開催してみて実感しています。建設産業の継続的な発展のため、業界内・業界外の双方の人にアプローチをかけていきたい。そのためには、オンラインという手段を効果的に使うことで、これまで接点が持ちにくかった人と交流を図っていく必要があります。もちろん、国境を超えた海外への情報発信にも、効果的だと感じています。

今回の展示会に関しても、オンライン開催したことで、本紙の読者以外の人が参加しやすいオープンな環境を作ることができました。これまで、展示会の集客方法は社の公式サイトや読者へのメールマガジン配信などがメインだったので。今回はイベントページを積極的にインターネット上で拡散させました。それにより、イベント情報を従来よりも多くの方に知っていただくことができたのだと思います。

参加者の層も多様化しました。今後、建築業界と他業界の技術を融合させていくためにも、今回のオンライン展示会が試金石になった、と手応えを感じています。

ー 期待が高まる一方で、オンライン開催の課題を感じることもありましたか?

今回は、オンライン開催と建築業界との相性の悪さを感じる結果にもなりました。皆さんの想像通りかもしれませんが、建築業界の完成物は非常に大きいです。一方で、緻密なデータに基づいた技術がベースになっています。その大きさやダイナミックさ、それを実現するデータなど、来場者の方々に五感をフルに活用して技術や工法を体感していただくのが、こういった展示会の醍醐味でもあります。そういった意味では、来場者に対してオンライン上でしか完成物を共有できないというのは、解決すべき課題だと感じました。ツールを活用して乗り越えられる部分とそうじゃない部分と。建築業界のイベントをオンライン化することの難しさを感じる結果となりました。業界全体の課題ですね。

業界全体として、まだまだオンラインが普及していないことも課題ですね。オンライン、というところに対して苦手意識を持っている方々にどうアプローチしていくのか。社内で検討を重ねる必要がありますし、EventHubの機能アップデートに期待したいところでもありますね。

ー ありがとうございました!

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