オンラインで国境を超えて交流!イベントの双方向性を高める運営の工夫
主催社: 一般社団法人Fintech協会
イベントタイプ: カンファレンス
開催形式: オンライン 業界: 金融・VC・保険
開催形式 オンライン
業界 金融・VC・保険
一般社団法人Fintech協会は、国内外のFintechプレイヤーが交流する環境を整え、ユーザーに寄り添った新たな金融サービスを社会に実装することを目指して活動しています。現在、日本の金融業界は急速にデジタルシフトの局面へ突入しています。Fintech協会は関連企業の活動を支援する団体として、金融業界の持続的で健全な発展を推進しているのです。
同協会は今年、業界最大級となるグローバルカンファレンス「FINTECH JAPAN 2020」を開催。初めてのオンライン開催に至った経緯やオンラインならではの良さについて、Fintech協会 事務局長の野中さんにお話を伺いました。
イベント開催には参加者同士の交流が不可欠
― 本日はよろしくお願いします!早速ですが、イベント開催の目的について教えてください。
「新しい日常のフィンテック」というテーマの下、新たな生活様式における金融やFintechのあり方を模索することが目的でした。コロナ禍で完全オンライン開催とはなりましたが、3日間にわたって、講演やスタートアップピッチバトルなどを展開し、国境や業種を超えた交流を図りました。
私たちがイベントを開催する一番の目的は、交流の場を創出することです。これは今回のイベントに限らず、イベント開催において重視していることであり、協会発足の背景と深く関わっています。
― 協会発足の背景とは?
協会の土台ができたのは2014年10月のことです。国内外のスタートアップと金融関係者を対象に、自由な意見交換ができる環境の創出を目指していました。この頃から定期的に実施するようになったのが、「FinTech Meetup」です。ミートアップの回を重ねるごとに、自由で活発な交流活動を支える組織の必要性を実感していきました。その中で同じ志を持つスタートアップ20社、一般企業、個人や団体が集まり、Fintech協会を発足しました。
以来、国内外のFintechプレイヤーを繋げることをミッションに掲げて、関係者の交流を図ってきました。年次カンファレンスを開催するなど、国境や業種を超えてFintech領域でのディスカッションが活性化するように努めています。
― コロナウイルスの影響でこれまで対面で開催されていた年次カンファレンスを中心としたイベントの開催が難しくなったということですね?
はい、年次カンファレンスを含め、従来のイベントは基本的にオフライン開催でした。特に年次カンファレンスは、海外からの参加者も多い国際的なイベントとして位置付けておりますので、コロナの状況を鑑みると、年度内のオフライン開催はまず難しいだろうと感じていました。こういったことを考えて、春には既にオンライン対応の検討を行っていました。
― オンライン開催に切り替えるにあたって、重視されていたことはありますか?
イベントにおけるコミュニケーションを、対面同等に充実させるということです。バーチャル空間だということを気にせず、参加者同士が気軽に交流できるようなイベントにしたいと思っていました。
というのも、年次カンファレンスは、これまでも、あくまで参加者同士の交流が目的でした。その他のイベントについては、Fintech分野における情報発信をその目的としていたのでいわゆる「ウェビナー」形式での開催が多かったです。
しかし年次カンファレンスは、Fintechプレイヤーの交流を目的としています。対面であれば、出展ブースへの立ち寄り、登壇が終わった人との休憩スペースでの会話、来場者同士のコミュニケーションが発生します。これを再現したいと考えました。
登壇者が来場者へ情報を届ける形式のウェビナーと、参加者同士の交流を促進してフランクな情報交換の場をつくる今回のカンファレンスとでは、目的の違いが明確だったからこそ、その他のイベントと同じやり方ではダメだと感じていました。
チャット機能で交流の活性化を実感
― オンラインイベントについて、参加者同士の交流が不十分になるのではないかという不安があったのですね?
はい、もともと個人的にもイベントによく参加をしたり開催をする方で、様々なツールを用いていましたが、個人間のチャットはできてもSNS交換までは至らない、自由に移動することが難しい、特に企業ページとミーティングリクエストの設計が最も難しいと感じていました。
様々なツールやWebページを組み合わせて実装することもできたかもしれませんが、時間も迫っており、オンラインに長けたメンバーをこれから集めていくのもなかなか難しい中で、ワンストップでこれらを解決するツールを探していました。そんな時、EventHubを見つけたんです。
― 実際に開催してみた結果、いかがでしたか?
求めていた機能が詰まっていました!EventHubには、企業ページや資料ダウンロード機能、参加者同士のミーティングリクエストや名刺交換など、オンラインながらも対面でのカンファレンスや展示会で行われるコミュニケーションにあたる機能が多く実装されています。見つけた時にはこれだ!と思いました。
実際に参加された方からは、長年気になっていた企業にアプローチが出来たといったお声もいただくことができました。今回は、金融庁FinTechサポートデスクの皆様にも出展いただき、オンラインでも相談会が開けることを体感いただくこともできたと思っています。
オンラインとオフラインでは出来ること、出来ないことがそれぞれありますが、今回はどんな状況においても歩みを止めず、従来通り交流機会を提供していく姿勢を貫きたいと考えていました。今後もオンラインの良さを十分に取り入れつつ、イベントを続けていきたいと思っています。
来場者の動きをデータで見える化
― オンライン開催ならではの良さとして他にどのようなものがあると思いますか?
オフライン開催よりもイベント参加のハードルが下がることです。例年よりも多様な層の方に参加していただくことができました。地方の方だけでなく、国外からの参加も多かったです。交通費などを削減できるので、参加に対する心理的なハードルが下がっているのは間違いないと思います。
登壇者についても海外からご参加いただいたり、平井デジタル改革担当大臣からのビデオメッセージを流すことができたりと、様々なコンテンツをお届けすることができました。
一方で、来場者のエンゲージメントを保つ方法など、参加・離脱しやすくなったからこその課題もあると感じており、今後の設計に活かしていきたいと思います。
他にも、トラッキングはオンラインならではの良い点でした。動画の視聴履歴、PV、各ページへの訪問者など、定量的に確認することができました。
同様に、企業ページの機能も出展者の皆様からご好評いただきました。企業ページを各自作成できること、資料ダウンロードでリード獲得できることなど、コロナ禍においても営業が可能であるということをメリットに感じていただけました。企業ページに動画が載せられるのも良かったですね。来場者側も、会場に足を運ぶのと変わらない情報収集ができたのではないか、と感じています。
― イベント開催の様子がデータとして残せた、ということですね?
はい、来場者の動きを見える化できたことも良かったですし、YoutubeやVimeoなどの動画ツールと連携しているということから、簡単に講演の内容をアーカイブとして残せるというのもとても助かりました。その場では視聴できなかった方々にも内容を届けられる、という点で会員や参加者の方にも安心いただけたと思いますし、登壇者や出展者の方々にも、リアルタイム視聴が出来なかった方にもリーチできるという点をご評価いただけたかと思います。実際にアーカイブも多くの方にご覧いただきました。
― EventHubで開催した感想を簡単に聞かせてください!
オンラインならではの準備や、知識のキャッチアップの必要もありましたが、対面で提供していた機能の維持ができ、そして経費も少なく運営できてとてもよかったと思っています!
企画にあたっては協会メンバー総出で考えつつ実施しましたが、実際の準備や運営においては、基本的には私を中心とする事務局3名という、かなりの少人数で運営することができました。イベント開催までの運営工数や経費を大幅に削減できるのは、オンラインならではのメリットでした。EventHubはサポートも充実していて、全体的に使いやすかったと感じています。
当協会としても、状況見合いではありますが、2021年はオンライン・オフラインのハイブリッド開催も視野にいれて検討しています。今後はその辺りについて専門家のご紹介などのサポート強化、ナレッジの共有などもしていただけるとありがたく思います!
― 野中さん、ありがとうございました!