全員ボランティアで2,000人が参加のカンファレンス運営を実現!
シームレスな画面遷移など参加者体験の良さとEventHubによるカンファレンスナレッジの共有が成功のポイント
主催社: 一般社団法人TSKaigi Association
イベントタイプ: カンファレンス
開催形式: オフライン 業界: 公共機関・非営利団体
開催形式 オフライン
業界 公共機関・非営利団体
「カンファレンス」検討時の課題
- 立ち上げメンバー含めて全員ボランティアの不安
- 初めてのカンファレンス開催のためカンファレンス運営のナレッジがない
「EventHub」の効果
- 画面遷移のシームレスさなど参加者からも参加体験のスムーズさが好評
- 5種類の参加者チケットやスポンサーごとの個別チケットの発行
- オンライン視聴者の入退場のタイミングが把握できたことが今後の企画の参考に
「コロナによってTypeScriptの勉強会が中断しているのは日本の損失」と考えて始まったTSKaigiプロジェクトは、2023年9月に有志のコミュニティが結成されたことで始まり、2024年5月に2,400名もの参加者を集め大盛況で幕を閉じました。
40名以上の運営メンバー全員が本業を持つボランティアだったこと、カンファレンス開催のナレッジが無い中どのようにマネジメントを行ったのかなど、運営理事の一人である丹羽健様と、参加者管理まわりを担当された緑川達也様に詳しく伺いました。
TSKaigiの内容と運営組織
「TypeScriptに関して話し合う場が無いのは日本の損失」と考え4年ぶりに有志のコミュニティで立ち上げ
ーまずはTSKaigiについて教えてください
2024 TSKaigiのロゴ
2024年5月11日に開催されたTSKaigiは、TypeScriptをテーマにした国内のカンファレンスです。他のプログラミング言語だとRubyKaigiに代表されるように、言語ごとに色々なカンファレンスがありますが、多くのイベントがコロナが起きたことでこの数年止まってしまっていました。TypeScriptのカンファレンスもこの4年間開催できずにいたので、TypeScriptに関して話される場がないことに危機感を覚え、「有志で開催しよう!」と私、丹羽を含めたのちの運営理事4人で立ち上げたのがこのTSKaigiコミュニティです。
TSKaigi運営の特徴は、全ての人が本業を持っていて全員がボランティアメンバーであるということです。2023年9月に4人の立ち上げメンバーでTSKaigi開催の告知をすると同時に、ボランティアの運営メンバーの募集を開始しました。
ーどのような組織・メンバーで運営したのでしょうか
TSKaigiを円滑に運用・継続することを目的に、一般社団法人TSKaigi Associationを立ち上げました。時間が経つとともに運営メンバー希望者が集まり、「スポンサー担当」「集客担当」などチームを分けて準備を進めていきました。私緑川も初期から参加した運営メンバーです。告知を見て、TypeScriptを業務で使っているから力になれるならなりたい!と応募して、運営側のお手伝いをすることに。私は主に、イベント参加者の参加登録から受付までの流れやイベント当日の体験の向上企画を担当し、その流れでEventHubの管理や運用のリーダーも担当いたしました。
ーTSKaigiを立ち上げた目的を教えてください
TSKaigiの主旨について説明
TSKaigiを立ち上げた大きな目的は、「TypeScriptに関わる全ての人の学びと交流の場を作りたい」「日本全体のTypeScriptの認知・理解をあげたい」という二点です。TypeScriptは全てのアプリに関係しますし、フロントエンドには欠かせない技術なのですが、その「欠かせない技術」について、4年前のコロナ以降話し合う場が無い現状は日本の損失であると感じていたのです。そのためカンファレンスでもTypeScriptに関するあらゆる話をするセッションを準備したり交流を促し、これをきっかけにコミュニティも作りたいと考えていました。
コロナ前までもTypeScriptのカンファレンスはありましたが、私たちはその当時の運営メンバーではありません。運営母体が変わったことでミッションバリューも大きく変えたんです。以前は言語仕様に関する専門的な内容が中心でしたが、今回は学生や若手を含めてTypeScriptを使うあらゆる人を対象にし、参加者も多様性を重要視しました。なぜならTypeScript自体が多様性に富んでいるからです。結果的には当初目標としていた千人を大幅に超えた2千人以上が参加をしてくれ、大盛況だったので嬉しかったですね。
カンファレンス成功のための工夫
TypeScriptを知ってもらう・好きになってもらうために運営側もブース出展者もそれぞれにいくつもの楽しませる仕掛けを
ーカンファレンスの内容で工夫した点を教えてください
参加者が真剣に学ぶセッション
4年ぶりに開催の今回は、TypeScriptに関して様々な視点やレベルで話し合え、どんなレイヤーの人がきても気づきがあるイベントにしたいと考えていました。基調講演にはTypeScriptの世界では有名なDaniel Rosenwasser氏を招き、40以上のセッションを用意しました。またスポンサーブースはスポンサースタンプラリーを行ったり、リフレッシュとしてお菓子やコーヒーを用意するなど、参加してくれた皆様がリフレッシュしつつ、集中力を切らさずに最後まで楽しめる工夫を様々施しました。
2時間ほどの懇親会は全参加者が出れるようにし、スポンサーとタイアップしたオリジナルビールを提供したり、TypeScriptがさらに好きになるノベルティも準備しました。
多くの方が参加くださった懇親会
また、運営側の私たちの頑張りだけでなくスポンサーの皆様の工夫あってこその成功だったと思います。実際にTypeScriptのコードを見せる学びのブースや、TypeScriptを使ったゲームなど、それぞれが参加者を楽しませる工夫をしてくださっていて、運営側としてはとてもありがたかったです。「TypeScriptのコミュニティを盛り上げたい」という出展者の気持ちも伝わるイベントになりました。
43名の運営メンバーをそれぞれのチームに分けてしっかりと役割を持たせたことが運営成功のポイント
ー運営者が全員ボランティアだったことによる苦労や工夫をした点を教えてください
当日も活躍した運営メンバー
2023年9月にTSKaigiの開催告知と同時にボランティアも募り、カンファレンスの運営を考えて30名の運営メンバーが集まることを目標にしました。最終的には43名になり「スポンサーチーム」「参加者管理チーム」「会場チーム」「ノベルティチーム」などしっかりとそれぞれの役割を決めました。チームごとに企画を進めていき、運営理事が全体を統括し連携をとりながら調整するという運営方式で進めました。
それぞれに本業があるため、打ち合わせは平日20時以降や週末に集中するなど、組織マネージメントとしては大変な面もありました。皆が本業では無いからこそ「日常的にTSKaigiに関心を向けてもらうことが重要」と考えてslackで議論できるワークスペースを作る、定例を開催するなどそれぞれのチームが工夫して進めていきました。全てがうまく回ったわけではないですが、組織作りや役割を早い段階で決めておくのがポイントだったと思います。
今回は運営側も初開催で手探り状態だったため、タスク管理の方法やイベント開催に必要なことやルールなどが私たちも分からず、皆で手探りで開拓しながら開催しました。EventHubのCSの方にも手厚いサポートをいただき、イベントが大成功に終わったのは、運営メンバーを含めた皆の成果ですね。
参加者は予想の2倍の2,000名・スポンサーは応募が多く抽選に
ーカンファレンス運営の成果を教えてください
具体的な成果としては、当初参加者目標としていた千名を大幅に超えた2千名が参加してくださったことと、集まるかどうか不安だったスポンサー枠も予想より多く応募があり、結果的には3、4倍の抽選になったことなどが挙げられます。これだけTypeScriptへの関心が高いということなので、この熱量を今回で終わりにするのではなく、色々な形で継続させていきたいですね。
EventHubの選定理由と良かった点
ALL STAR SAAS CONFERENCEでユーザーとして利用した参加体験の良さや画面遷移のスムーズさが導入の決め手に
EventHubのQRチェックインで入場もスムーズ
私自身がALL STAR SAAS CONFERENCEでEventHubを使って、入場もとてもスムーズだし使い勝手が良いなと思ったのがEventHubの導入を考えたきっかけです。実際に一ユーザーとして使ってみたことで、オンラインセッションの画面の切り替えや他のセッションへの行き来がスムーズなことを実感しました。この、何のストレスもないユーザー体験であればTSKaigiへの参加者の満足度が向上すると確信し、自分からEventHubに問い合わせて導入を決定しました。
「オンライン視聴者の入退場のタイミングが把握できたこと」が今後の企画の重要情報に
ーEventHubの良かった点を教えてください
参加者体験の良さに加えて、とても良かったのはCSの対応です。私たちは今回カンファレンス運営が初めてだったので、ツールの利用方法だけではなくナレッジサポートもしてほしかったのですが、実際に導入を始めてからCSの山梨さんのサポートが本当に素晴らしかったです。知らない機能も親切に教えてもらい、お陰で色々な企画もスムーズに立てることができました。
EventHub CSの山梨による当日のサポート
EventHubで使った機能は「QRチェックイン」「アンケート登録」「決済処理」などです。今回は参加者に対しては早割・学割など複数のチケットを準備し、合計で5種類作成しました。また、各スポンサーごとに個別のチケットを発行しましたが、初めての利用にも関わらずそれらの個別管理もとても楽にできました。
当日はスマホからチェックインできたため入場もスムーズでしたし、「画面の切り替えが楽だったので良かった」というアンケートの声もありました。またオンライン視聴者がどのタイミングでどこに入ったかというデータが取れたので、来年以降のセッションを決めるための大きな参考になりした。エンジニア目線ではセッション登録の時にCSV登録ができたのもありがたかったですし、色々な機能にとても満足しています。
今後の展望
今回細かくアンケートを取ったことで、TypeScriptが思っている以上に広がっていることも分かりました。今後も日本のTypeScriptのエンジニアを盛り上げていきたいので、これからは定期的に100人位の規模のサブイベントを全国で開催したいですね。どうしても東京に一極集中しがちなので、地方のカンファレンスも開催したいです。
そして、年に一度のTSKaigiはしっかりと開催していきます。
取材協力
丹羽 健様 | |
アセンド株式会社取締役CTO。2016年に日鉄ソリューションズ株式会社へ新卒入社し、その後株式会社グラファーを経て、2021年に物流業界向けにAll-in-One 運送管理 SaaS「ロジックス」を提供するアセンド株式会社にCTOとして参画。エンジニアコミュニティ支援としてTSKaigiの運営理事や、Product Engineer Nightの主催を行っています。趣味は料理とクラフトビール。 |
緑川 達也様 | |
株式会社アイオス。2018年に株式会社アイオスへ新卒入社し、Webアプリの開発に従事。フロントエンドでTypeScriptを使用しており、国内のTypeScript発展に貢献したくTSKaigiの運営に参加。TSKaigiでは参加者管理チームのリーダーを務めた。 趣味は料理。 |