学会発表を成功させるには?発表形式の選び方とスライド・ポスター作成のポイント
学会発表は、研究者が自らの研究成果を発信し、他の研究者と議論・検証を重ねる場です。研究の信頼性や独自性をアピールするだけでなく、将来的な共同研究やキャリア形成にもつながる重要な機会です。そのため、発表資料や話し方、当日の対応まで綿密な準備が求められます。
本記事では、学会での代表的な発表形式やそれぞれの特徴、スライドやポスター作成時のポイント、発表成功のための実践的なアドバイスを図表付きでご紹介します。


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学会とは?その役割と開催形式の多様化
学会とは、研究者が研究成果を発表・共有し、専門分野の知見を広げるために設けられた場です。発表内容に対して批判的検証や質疑が行われ、研究の信頼性や将来性が評価される貴重な機会です。
学会は研究成果を広めると同時に、異なる視点を取り入れる場でもあります。参加者同士の交流やネットワーキングを通じて、新たな研究テーマの発見や共同研究のきっかけが生まれることもあります。
なお近年では、オンラインでの開催も普及しており、時間や場所に縛られずに発表や参加が可能な「オンライン学会」や「ハイブリッド学会」も広がっています。

学会発表の種類|口頭発表とポスター発表の違い
学会の発表形式には、主に以下の2つがあります。それぞれの形式には特有のメリットや特徴があるため、発表内容や目的に応じて適切な形式を選択することが重要です。
口頭発表
発表者が聴衆の前に立ち、プロジェクターなどを用いてスライドを表示しながら行う形式です。1人あたりの持ち時間は10〜30分程度で、発表後には質疑応答の時間が設けられることもあります。
- 内容を体系的に説明できる
- 広範な聴衆に対して訴求力がある
- プレゼンテーションスキルや時間配分が問われる
ポスター発表
研究内容をA0サイズなどの大型ポスターにまとめ、所定のスペースに掲示して発表します。参加者は自由にポスターを見て回り、発表者と対話をしながら質疑や意見交換を行います。
- 参加者との対話を通じた理解促進ができる
- 質問や議論がしやすく、交流のきっかけになる
- 見やすいデザイン構成が重要
口頭発表とポスター発表の違い
口頭発表では、1つの舞台で発表を行うため、設営コストを下げることができます。またセッションが時間で区切られ、発表者はより多くの聴衆を相手にプレゼンをすることが可能です。一方ポスター発表では、掲示物を見に訪れる人に対して説明するため、発表以外に直接のコミュニケーションが増え、議論を深めやすく、聞き手に合わせて発表することになります。
それぞれの発表形式は一長一短です。開催形式を検討している運営担当者は、各形式のメリット・デメリットを把握することが大事です。
発表資料の作り方|ポスターとスライドの構成・デザインの基本
効果的な発表には、視認性の高い資料と構成が欠かせません。スライド・ポスターは、以下の構成に基づいて設計しましょう。
発表内容の構成
原稿や発表資料を作る前に、そのフレームとなる構成を考えます。スライドやポスター、原稿等を作成するときは、下記の流れに沿って作りましょう。
- タイトル/表紙:研究テーマが一目で分かるよう簡潔かつ興味を引くタイトルに
- 背景・目的:研究の出発点、なぜこの研究に取り組んだのかを明示
- 研究方法:使用データ、分析手法、実験プロセスなど
- 結果:データに基づいた主要な発見を簡潔に
- 考察:結果の意味、研究の限界、今後の課題など
- 結論:研究から導かれる要点と社会的・学術的意義を整理
この構成は、記事内の円グラフやボックス図でも視覚的に紹介されています。
スライド・ポスターのデザイン
デザインはPowerPointなどを活用して作りましょう。資料作成をするにあたり心がけるべき点は下記の4つです。
- レイアウトやフォントの大きさを揃える
- 色を使いすぎない
- なるべく文字量を減らし、ポイントのみ記載する
- 適宜グラフや図を挿入する
またそれぞれの作成ポイントは以下の通りになります。
〈スライド作成のポイント〉
- 1スライド1メッセージを基本に設計する
- 色使いは3色程度に統一し、見やすさを重視
- フォントは大きめに(24pt以上推奨)
- グラフや図を活用して直感的に理解させる
- レイアウトは16:9で統一感を出す
(スライドの例)
〈ポスター作成のポイント〉
- サイズはA0(84.1cm × 118.9cm)を基準とする
- 全体に余白を取り、見やすい配置にする
- 段組みや色分けで視線誘導を工夫
- タイトル・要点は上部に、詳細は下部にまとめる
- オンライン閲覧を想定した場合は横長スライド式レイアウトも検討
(ポスターの例)
ポスターのサイズは一般的にA0サイズが推奨されていますが、最近ではPCでポスターを閲覧する機会も増えているため、サイズに制限がない場合はPC対応のレイアウトがおすすめです。
成功する学会発表の準備と練習のポイント
学会発表では限られた時間の中で「何を・なぜ・どのように」研究したのかを正確に伝える必要があります。以下の3つの要素が成功のカギを握ります。
研究の背景を整理する
- Why(なぜ):どのような課題意識・社会的背景があるか
- What(何を):研究によって明らかになった知見とは何か
- Who(誰に):誰に向けて発信しているのか
これらを冒頭で提示すると、聴衆は内容の意義をつかみやすくなります。
要点を話す
スライドやポスターに詰め込みすぎると、主張が曖昧になります。話す内容も「1スライド=1メッセージ」で展開し、要点を的確に伝えましょう。
事前に発表練習をする
- 時間内に収まる構成かチェックする
- 声量・スピードを録音して調整する
- 想定質問をリストアップし回答を準備する
特に質疑応答の想定は、当日の応答力に直結します。オンライン発表では回線や共有トラブルに備え、操作練習も重要です。
また近年ではオンライン学会が増え始めたことにより、発表者はオンライン発表に対応して、工夫したプレゼンをすることが求められるようになっています。下記の記事でオンライン学会の発表に使えるツールを紹介していますのでぜひご参照ください。

まとめ
学会発表は、研究成果をアピールするだけでなく、学術ネットワークを広げる機会でもあります。自分の研究を客観視し、どのように伝えれば価値が最大化されるかを意識しましょう。
発表形式や資料構成、プレゼン方法に至るまでを計画的に準備することで、より効果的な発信が可能になります。
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